「痛み」は身体の異変を知らせる、重要な警報
患者さんにとって保存的治療は、もはや日常生活に組み込まれてルーティン化しています。医者にとっては処方箋を書くだけでいいので、これほどラクな診察はないでしょう。
しかし、保存的治療の間にも病態は徐々に進行していきます。なぜなら痛みを抑えているので悪化していることに気づきにくくなっているからです。消炎鎮痛剤では抑えられない痛みや手足のしびれを感じて、初めて自分の状況を知ることとなります。
そもそも痛みが出るから私たちは身体の異変に気づき、医療機関を受診するわけです。いうなれば痛みは異変を知らせる警報器です。それを抑え込んでしまえば、患者さんはラクになりますが、痛みがないことでかえって運動量が増えたり無理をしたりして病態を悪化させる危険もあります。
ここで、私たちが痛みを感じるまでのメカニズムを確認しておきましょう。
末梢神経には、侵害受容器というセンサーの役割を担う組織があります。このセンサーが刺激を受けると、刺激の情報が末梢神経から脊髄へ伝達され、脳まで届き、ようやく私たちは痛みを感じることができます。
しかし、「痛み」と一口に言っても、さまざまな種類があります。例えば、針が刺さったり、刃物で切ったり、身体をどこかにぶつけたりすれば、瞬間的に強い痛みを感じますが、その後はジワジワと鈍い痛みを感じるようになります。また、痛みがすぐに治まるものもあれば、肩こりや腰痛のようにしばらくは痛みが続くものや、痛んだり治まったりを繰り返すものもあります。
痛みの範囲についても、部分的に痛みを感じる場合もあれば、太ももから足首にかけて全体的に痛みを感じたり、全身の皮膚がピリピリするなど、広範囲で痛みを感じたりする場合もあるでしょう。
痛みの信号が脳に伝わるまでの速度は、末梢神経の太さに左右されています。痛みを伝える神経線維には、神経の外側の髄膜のある有髄神経で少し太めのAδ(エーデルタ)線維と、髄膜のない無髄で細いC線維があります。
Aδ線維は瞬間的に痛みを感じて、中枢神経に伝えます。そのため、捻挫や外傷など、傷を負った際には、初めにAδ線維が脳に伝えた強い痛みを感じ、次にC線維が伝える鈍い痛みを感じるようになるのです。
例えば、沸騰したやかんに触れたとき、瞬間的に感じる「熱い!」という感覚はAδ線維が伝えます。次に訪れるジンジンと継続する痛みは、C線維によって伝えられているのです。
Aδ線維の伝える痛みは痛む箇所がはっきりと分かりますが、C線維が伝える痛みは広い範囲で感じるため、「このあたりが痛い」と表現されることになります。
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