株式投資で利益をあげるには、「利益を伸ばして損失は小さく」がセオリーとされています。しかし、含み益が出ると喜んですぐに売却して、含み損が出ると元の株価に戻るまで我慢して損失を拡大させてしまう傾向があります。なぜ投資家はこのような行動をとってしまうのでしょうか? 株式会社WealthLead(ウェルスリード)代表取締役シニア・プライベートバンカーの濵島成士郎氏が解説します。

長期的な資産形成には「ドルコスト平均法」が有効

投資をする上で、リスクを軽減してリターンを安定させるためには、「分散投資」が大切です。分散の種類には次の3つがあります。

 

●地域の分散

●資産や銘柄の分散

●投資するタイミングの分散(時間の分散)

 

ここでは、3つ目の「時間の分散」について解説します。

 

株式でも投資信託でも、投資の対象には値動きがあります。購入した値段からずっと右肩上がりになればハッピーですが、購入した翌日に何らかのイベントが起きて値段が大きく下がる可能性もあります。「高値掴み」になったら、買値まで戻るのはなかなか大変です。

 

そこで定期的同額で購入していく「定期同額投資」、いわゆる「ドルコスト平均法」を活用することでリスクを軽減できます。

 

ドルコスト平均法は、購入するタイミングを分散することで購入価格を平準化します。

 

値段が低いときに購入する量を多くし、値段が高いときには購入する量を少なくすることで、購入平均単価を下げることができます。

 

[図表2]は、ある株式を60万円分買う場合、株価が500円、800円、400円、500円と推移するなかで、「10万円ずつ6回に分けて購入したケース」と「一括で購入したケース」の比較です。

 

[図表2]ドルコスト平均法(上)と一括購入(下)の比較

 

結果を見ると、6回に分けて購入したケースは平均購入単価が470.6円となり、株価が500円でも37,500円の利益が出ています。一方、一括購入したケースは、タイミングよく400円で買えていれば150,000円の利益が出ますが、800円のときに買ってしまうと高値掴みとなってしまい、225,000円の損失になってしまいます。

 

この例からもわかるように、買ってから一本調子で上がるなら一括購入で買ったほうが良い結果になります。そのため、ドルコスト平均法も万能ではないことにご注意ください。

 

「手元に投資資金があって今が安値で今後どんどん上がる」と思う場合や、「どうしても1年後までに資金を倍に増やしたい」場合は、ドルコスト平均法による分散投資ではなく、一括購入を選択することになります。ただし、株式や投資信託は、毎日値段が動きます。

 

人が投資で失敗する原因の一つに、日々の値動きに一喜一憂して間違った行動をとってしまう「人間の感情」がありました。その点、淡々と購入していくドルコスト平均法は感情が邪魔をすることはないので、長期的に資産形成をするにはとても有効な手法です。

「ドルコスト平均法」と「一括購入」の使い分け方

最後に、筆者が実践している方法を紹介します。

 

筆者が実践している投資戦略のベースとなるのは、やはり「毎月の積立て」で、ドルコスト平均法で淡々と投資をしています。ある程度手元に投資資金があれば、一定の期間を決めて分散投資をします。

 

一定の期間は銘柄や投資のゴールによって様々ですが、だいたい半年~3年程度に分けて分散していくケースが多いです。その上で、ここぞ!というタイミングでは一括投資でリターンを狙っています。いわば、ドルコスト平均法と一括投資の「ハイブリッド戦略」です。

 

2020年は新型コロナウイルスの影響によって株価が大きく下落しましたが、その後株価は回復しています。このような局面でもドルコスト平均法で淡々と投資をしていれば、利益になります。

 

私は、株価が十分下がったタイミングで投資金額を増やし、コロナウイルスの感染拡大でメリットを受ける銘柄に一括投資をすることで、大きなリターンを得ることができました。

 

繰り返しになりますが、ドルコスト平均法は高値掴みのリスクを減らして購入価格を平準化できますが、万能ではありません。そのため、長期的な資産形成が目的の場合はドルコスト平均法を活用し、短期的に資産を増やすことが目的なら一括投資を併用するなどして、状況と目的に応じて使い分けましょう。

 

【この記事を動画で見る】

ドルコスト平均法(積み立て投資)と一括購入(一括投資)

 

濵島成士郎

株式会社WealthLead

 

 

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