老後不安が高まっていますが、自分の老いよりも先に親の老いが訪れます。その時、家計はどうなるのでしょうか? 考えていきましょう。

親を在宅で介護…その費用の総額は?

排泄介助が必要となるのは、要介護4・5に相当します。公益財団法人家計経済研究所による『在宅介護のお金と負担』によると、要介護4における介護費用の支出は平均月額5.9万円、要介護5では月額7.4万円です。

 

また公益財団法人生命保険文化センターによる調査では、介護期間の平均は4年7ヵ月。あくまでも要介護度や認知症の有無などを考慮しない平均ではありますが、仮に要介護5の介護が平均並みに続いたとしましょう。

 

4年7ヵ月の介護費用の総額は、403万3000円。平均介護期間ずっと介護5の状態が続くというレアケースを想定していますが、10年以上も介護状態が続くケースも珍しくありません。その場合はさらなるコストを覚悟しなければならず、介護のために退職をした身であれば、大きな負担であることに変わりはありません。

 

これは介護費用のみの出費なので、そこに月々の生活費がプラスされますし、さらに介護保険ではカバーできない部分は自己負担となります。

 

仮に在宅介護を諦め、施設に入ることにしたら、どうなるでしょうか。有料老人ホームの場合、入居一時金が50万円程度、家賃や食費を合わせて月額20〜25万円ほど。5年で1200万円程度かかる計算です。

 

特別養護老人ホームの場合、有料老人ホームより安く、入居一時金はなく、月額は7万〜15万円ほど。それでも5年で600万円程度かかる計算です。

 

介護によって退職している場合、十分すぎるほどの貯蓄があるケースは考えにくく、親の年金や、退職金などが頼りになるでしょう。できるだけ出費は減らしたいと、在宅介護にこだわるケースも多いといいます。

 

介護でつぶれないためには、頼れるところは頼るのがポイントです。それには多額の費用が必要になることは仕方がありません。親やパートナーの介護に加え、自身の介護に備えて、早めに資産形成をスタートさせることが重要です。

 

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