持ち合いの後の大陰線は「即逃げ」のサイン
ローソク足の動きから、その先の株価の傾向が読める。図表1にあげた「持ち合い抜け」は、株価が同じ価格帯で往復した後に、上に行くか下に行くかでその後のトレンドが変わる。
特に、上値での持ち合いは、その後に、さらに上に行くのか、それとも天井圏に終わるのかの見極めが大事になる。
図表2の銘柄のように、持ち合いの後に、大きな陰線が出れば、そこは素早く逃げなければならない。皆がその足を見て「売りだ」と考えるので、ここで利益確定ないしは損切りを行わないと、大変なマイナスを出してしまう。
ところで目先の商いをしていたのに、このような下落に遭遇して「そのうち戻るだろう」と踏んで、含み損を抱えながら、長期投資に転換する人がいる。
これは避けたい。投資スタイルがデイトレやスイングなのに、天井圏の銘柄をつかんで逃げ切れず、長期に切り替えても、ストレスを抱えることになるだけだ。そのような取引をしていると、次から次へと、「失敗玉」を抱えることになる。資金が寝てしまうし、精神的に面白くない投資になる。
良いことは一つもない。含み損を抱えて投資をするよりは、さっぱりとお別れして、再起を期すことが望ましい。
どのような銘柄でも、必ず下落はある。自分の目算と違えば、即刻、見切りをつけて、次の銘柄やチャンスに懸けることだ。
上値圏の「ペナント型」が窓開けで下落したら手じまい
上値圏の形には様々なものがあるが、特徴的な形には、「ペナント型」(先細りの三角形)の持ち合いがある。これが上値に出て、その先で窓を開けて株価が下がっていけば、明らかな下降トレンド入りである(図表3)。
ペナント型は、株価の振幅が、陰線、陽線を交えて、次第に間隔が小さくなる。その先で、ローソク足は最小限となり、持ち合いの終わりとなる。
窓を開けて株価が下にいくと、天井圏から株価が「下放れ」をして、相場は下降に入る(図表4)。このタイミングで、逃げなければならない。手持ちの銘柄は、利益があろうがなかろうが、関係なく手じまうことが大切である。
いったん落ち始めた株価は、陰線、陽線を交えながら、下へ下へと落ちていく。株価はトレンドとして、下に向き始めたら最後、当面は再び上がることはない。いったん底値を付けて、売る人がすべて売り、買い手も少なくなり、値幅が小さくなって、閑散とした時の経過がないと、再び復活することはないだろう。
もし、天井圏で処分せずに保有するならば、相当な期間、耐えなければならない。その期間はお金を寝かせることになる。注意しなければならない。
急騰後に現れる「窓開けの陰線」は急落の前兆
急騰に急騰を繰り返した後に、落とし穴が待っている。
特に新興市場は、個人投資家の夢と欲が集まる市場。値動きが激しく、リスクも大きいが、値幅が大きいのでそのパフォーマンスに魅力を感じ、人が集まる。さらに、強烈な材料があれば、「テンバーガー」(10倍株)への夢が膨らみやすい。
しかし、株価は上げれば上がるほど、リスクは最大に近づくことを知るべきである。いかに素晴らしい材料があっても、株価は需給。
「そろそろだ」と考えて、売りを出す人が多くなれば、株価はこれまでの「イケイケ」から、売りの殺到になる。
資本金の小さな新興の銘柄は少しのバランスの崩れで大きく下がりやすい。図表5の銘柄は、急騰の後に迷いの上値持ち合いの陽線が出て、そして急落が来た。
図表6の窓開けの陰線が出始めたら、一刻の猶予もなく、手じまうことが、含み損を避け、含み益を失わないトレードの鉄則だ。株価はその後も反発することなく、売りが売りを呼んで、今までの急騰が嘘のように、反転、下落の一途となる。怖い足である。
このような銘柄は、板を常時見られる人でないと、近寄ってはいけない。ボラの大き過ぎる、日中すぐに動けない人は近づいてはいけない銘柄と言える。
移動平均線とローソク足の「デッドクロス」は逃げ一択
上値限界から下げトレンドになるシグナルで明確なのは、上げてきた移動平均線をローソク足が下に抜ける「デッドクロス」を確認することだ(図表7)。
株価が上げているうちは、移動平均線(25日)は右肩上がりになっている。それは株価の方向を緩やかに表したものである。
これに対して、株価が暗転して、この平均線を下回れば、明確な下降トレンドとなり、ここに集まる投資家も「ここが限界」と悟るようになる。
途中で「値ぼれ買い」で陽線が出ても、それは「無駄な抵抗」。トレンドを変えることは不可能だ。単なるローソク足の下向きだけではなく、移動平均線を下に抜ければ、下げ傾向の確認となるので、買いは無謀である。
株価の動きは日々上下しているので気付きにくいが、25日平均の株価のトレンドと合わせて見ることで、株価の方向が見えてくる。ぜひ活用して欲しい。
石井 勝利
経済評論家
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