株価上昇後、「小さな陰線」が連続したら凋落のサイン
図表1は、急激な上げの後に注意が必要な足である。
株価が勢い良く上げてくると、「我も我も」と、買いが湧いてきて、出来高も増える。これは、誰も止めることができない投資の行動である。それが株価に勢いをつけ、上げを加速する。
しかし、そのような時こそ、慎重さが大切である。株価の勢いはいつまでも続くわけではない。皆がそのように考えてトレードしているので、少しのバランスの狂いで暗転しかねない。
大切なシグナルは、大陽線の後に出てきた小さな陰線である(図表1)。二つの迷いの陰線があり、その後が大切で、割合大きな陰線が出る。これを見た投資家は、「下がるな」と感じるので、「利益確定の売り」が多くなる。
これまで、強気一辺倒で買いを入れていた投資家が買うのを止める。買いを止めて売りに回る。この傾向が強くなると、株価は下落に向かう。
結果的に、株価は凋落する。買いが買いを呼ぶ傾向から、売りが売りを呼ぶ傾向になってくる。こうなるので、信用の売りはチャンスだが、現物の買いは手持ちの銘柄を手放す方が賢明だ。
投資は逃げ時を間違うと、結果はうまくいかない。儲けは大きく、損はできるだけ小さくする投資の方法が、「負けない投資」の鉄則である。
極めて明確な天井圏のシグナル「首つり線」
「首つり線」は、極めて明確な株価の天井圏のシグナルである(図表3)。窓を開けて上げた位置に、胴体(実体)部分は短く、下ヒゲの長い「首をつった」形のローソク足として現れる。
高く寄り付いたが、高値での売り物が多く、売られて株価が下値に振られた。そして戻しはしたが、一時は利益確定の売りに大きく売られた模様が見てとれる。
ここが大切である。戻しはしたが「大きく売られた」という事実が、「ヒゲ」となって残る。この足を見て、投資家は「そろそろ売らないと、上値限界かな」という感覚を持つ。その思惑が翌日に現れる。
「天井だろうから売ろう」という注文が殺到して、一段安く寄り付く。この動きを見て、さらに売りが殺到して、上ヒゲを付けた陰線の足が出る。
こうなれば、「もう限界だ」と感じる人が増え、売りが売りを呼んで、トレンドは下降していく。
窓を開けて上がった株価は、今度は窓開けで下落する。天井圏での出来高は最高に達して、クライマックスを迎える。このように株価は売りと買いの力関係なのだ。
陽線には違いないが、「首つり線」は、言わば下ヒゲの足。これが下値に出れば、反発、底値からの上げのシグナルだ。しかし、天井圏に出ると意味が違ってくる。形だけでなく「どこで出るか」を見極めよう。
大陽線の翌日に「陰のはらみ線」が出たら下落傾向
上値で窓を開けた上ヒゲ陽線が出ると、市場に「高値意識」が漂うことに注意が必要になる。
高値圏でいきなりの窓開け陽線となれば、次には「窓埋め」(窓が開く前の高値まで株価が戻ってくること)が意識されてくるのは、仕方のないことだ。銘柄を持っている投資家は、一種の「高所恐怖症」に襲われるものだ。
その心理状況が表れるのは、次の日の陰線である。前日の株価と比べて安寄りして、さらに、株価は下げる。こうなると、「陰のはらみ線」(図表5)となり、弱い足になる。
前の日の陽線とこの陰線を合わせれば、「首つり線」に近くなる。ローソク足は、1日だけではなく、2日すなわち2本の線を組み合わせることで、明確に形の特徴が見えてくる。
結果的に、前項でお話しした首つり線となるので、その後の株価は下落傾向になるのだ。
この需給関係の流れをしっかり読んで、トレードすれば、株価の方向性を極めて高い確率で読んでいけるので、成功の確率が大きくなる。
株で大切なのは、利益確定のタイミングである。いかに含み益が多かろうとも、それは「絵に描いた餅」。高値を読み切り、確実に利益確定をしたい。
石井 勝利
経済評論家
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