「下を向き始めたら、問答無用の売り」
株の売買タイミングは日足での陰線と、陽線の表示で判断できる。陽線が多い時は上げの勢いが強いことがわかる。
それに対して、陰線が多ければ、株価は下落傾向になる。株価に上昇傾向がある時は、陰線は交じるものの、断然、陽線が多い。
上げの途中では、買いが勝るので、売りは弱い。しかし、いったん高値を付けると、今度は利益確定の動きが強くなり、陰線が増え、株価は下落方向に向いていく。
これは個別の株価の需給の関係もあるが、ほとんどの銘柄に当てはまる動きである。
投資で心しなければならないのは、上げの方向から、下落の方向にトレンドが変わった時に、素早く利益確定するか、損切りをして、傷を浅くすることだ。
株式投資で大切なのは、「損を少なくする」ことである。株式投資は、「ハイリスク・ハイリターン」であり、良いことづくめではない。いかにリスク管理をするかが、大切なトレードの技術になる。
図表1、2にあるように、株価の方向は、「下を向き始めたら、問答無用の売り」になることを心得ておきたい。
上げている時は、窓開けの陽線が出るが、下げの時は、窓開けの陰線となり、まったく逆の動きになる。心したい。
利益確定か損切りか…明確な「逃げ時」のサイン
「宵の明星」(図表3)というのは、大阪の米相場の時代から伝えられる、「酒田五法」といわれるローソク足の読み方の典型的なものである。
株価が次第に高くなり、窓開けで上げて行くが、上値に飛んだ後に、今度は、いきなりの陰線が出て、高値に「星」が置いてきぼりを食うような形になる。
このローソク足の組み合わせが出た時は、明確な上値限界と見て良い(図表4)。利益確定を行うか、損切りをするタイミングだ。これほどはっきりしたものはないので、「逃げ時」を頭に叩き込んでおきたい。
株式投資で一番良くないのは、損失の拡大である。上値限界になる銘柄を間違ってつかんだ際には、素早く逃げることだ。
この習慣をしっかり持ってトレードできれば、失敗を引きずることなく、次のチャンスを確実にものにできる。
ローソク足の形は、その相場に参加する人達の相場観の総和であり、その需給が株価の変動となる。これは「相場は相場に聞け」ということわざがあるように、抗うことができない。
ローソク足をうまく活用して、投資の収益を積み上げるためには、トレンドを確実に読み取っていくことが肝心だ。
「2度目の天井」は利益確定で手じまいが吉
ダブル天井のシグナル(図表5)は、アメリカから来た考え方だ。これは、目先よりも、長期の投資向けの見方と言える。
図表6にあげたダブル天井は、割合に期間を長く見ているが、もう少し短期のシグナルもある。2回も高値に挑戦したが、上値で跳ね返されると、そこは明らかに「上値限界」となるので、利益確定して手じまうのが、確率的に良いのだ。
ローソク足をはじめとするテクニカル手法は、「株価はどちらに向かうか」を判断するのに有効な手段だが、100%確かなものではない。可能性、確率としてどうかの問題なので、うまく活用して、投資の成果を上げたいものである。
株価の先行きは、誰にも確実にはわからない。しかし、先人の経験則を下敷きにして、目の前の相場を的確に読める確率が上がるならば、使わなければ損というものだ。その意味で、2回高値に挑戦したが、それ以上の高値は無理というわけである。
これは投資家のほとんどが知っている経験則なので、「この場合はこうなるだろう」との見立てで相場に挑むため、結果的に経験則が相場に大きな影響を与える。
大切なお金を投じるのだから、可能性の高いところに、リスクを承知で投じてリターンを得る。これが成功する賢いやり方だ。
石井 勝利
経済評論家
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