急上昇の翌日…「陽のはらみ線」は上値限界のサイン
出来高を伴った上げでも、最後の足が、前の日の急騰の足の範囲にとどまれば、「上値限界」と見られる(図表1)。
図表2のチャートでは、大きく上げた前日の大陽線に対して、その株価の範囲に収まる、小さな陽線が出た。
つまり前の日の終値よりも安く始まり、少し戻したが、大した値動きにならず、わずかに高く終わったということになる。それは高値圏での利益確定の売りが多くなったことを示している。上値限界のシグナルの一つだ。
それを察知したか、翌日からは更なる上値を追うことはなく、陰陽を交えて、だらだらの下降トレンドになっている。
勢い良く上げてきた株価の勢いは終わり、利益確定の傾向が続いているので、ここから買っても、再び上値をとるのは難しい。急激な上げにつられて買うと、下降トレンドに向かう下落に遭遇する典型的な足である。
急激な上げは、急激な下げか、だらだらの下げに出会うことになる。なぜならば、慌てて買った人の損切りが続くからである。それまでの株価をはるかに超える買いの枚数があれば別だが、なかなかそうはいかない。いったん下を向き始めた銘柄の需給は簡単には回復しない。この習性を飲み込んで、銘柄の高値圏に対処すべきである。
「急騰した株価は、急落する」のがセオリー
急に上げた株価は、急に下落する。これが習性である。資本金の大小に関係なく、株価とはそのようなものなのである。
図表3の銘柄の株価は25日移動平均線を上に突き抜けると、4日間であっという間に大陽線を付けながら上げて行った。
しかし、株価のバランスで売りが多くなり、陰線を付けると、今度は逆回転。坂を転げるように、陰線続きで下落し、移動平均線を下回った。元の木阿弥である。
この動きは週足にすれば、2本の陰陽線となるだけだが、最近の短期トレードでは、この動きにもチャンスがあるので、無視はできない。上げの場面で買いを入れて、下がる前に飛び降りることだ。
急に作られた相場は急に壊れる。これは間違いない。相場が緩やかに上げて、さらに高みに行くには、買いだけではなく、利益確定の売りもこなしながら、上げて行く。短期で急激に上げて行った株価は、その後を買う投資家はいないので、買いの方向から売りに傾くと、簡単に壊れるのだ。
この癖をしっかりとつかんでトレードしなければならない。株価の動きから、好ましいトレンドの見方がわかるはずだ。
「長ーい上ヒゲ」は利益確定のシグナル
株価の勢いがついてきて、窓を開けての上昇、それも、陽線がほとんどの上げの場面では、追随の買いを入れたいなら、用心しなければならないことがある。それは、上げの限界を見極めるということだ。
株価が勢い良く上げている時は問題はないが、いつかは限界がある。その「上げの限界」のシグナルを心得ておくならば、高値圏で逃げ遅れることはない。
図表5にあげたチャートでは、さりげなく上ヒゲ、それも比較的長いものが出ている。
この足は、間違いでも勘違いでもなく、立派な売買の力関係の表れである。高値圏で、さらに高く買われたが、その先を買う人がいないので、株価は押し戻された。
そこに、需給関係の異変が見て取れる。それ以上の高値は買わないという意味である。そのシグナルを見落とさず、手持ちの銘柄は撤退し、さらに高値を望まないことが大切である。
下げの途中にも陽線が出ているが、銘柄に対する「憧れ」の証である。国際優良株や材料豊富な銘柄は、多少下げても、「戻すのではないか」という見方があるので、下降トレンドに入っても、買いが入りやすい。
しかし、その考え方は間違いだ。上値限界のシグナルが出た時に、撤退を考えないと、含み損を拡大させるだけである。
「大きな陰線」と「首つり線」が出たら撤退一択
株価が持ち合いの末に、いきなり、陽線続きとなり、人気化で高値を付ける。これはよくあるパターンだ。しかし、やがて、上げの限界は来る。
高値限界のシグナルは色々あるが、誰もが納得するシグナルはこれだろう。株価が上伸した後の大きな陰線、それに次ぐ「首つり線」の出現だ(図表7)。
いわゆる天井のシグナルのダブルパンチである。これを見たら、問答無用で撤退しなければ、自殺行為になってしまう。心しなければならない。
このシグナルの後は、わかる人はわかり、勘づくので、売り優勢となり、株価は下落していく。当然のことである。「また、反発するだろう」などという甘い考えは持たない方が良い。
株価は、何度も言うが「需給」で決まる。材料や業績にはあまり関係がない。唯一確かな判断の材料は、投資家心理を表したローソク足の組み合わせなのである。よく活用したい。
石井 勝利
経済評論家
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