
妻への感謝の気持ちを込めて、初めての海外旅行を計画
30年ほど勤めた会社で定年を迎えた阿部徹さん(仮名・60歳)。定年後は再雇用で契約社員として、現役社員のバックアップ支援を行っています。
定年時に手にした退職金は2,200万円ほど。月収はそれまで65万円ほど手にしていましたが、定年を境に6割弱減少。現在の月収は27万円ほどです。
【勤続年数別・大卒サラリーマンの平均退職金】
勤続20~24年…1,021万円(52.1万円/19.6ヵ月分)
勤続25~29年…1,559万円(49.5万円/31.5月分)
勤続30~34年…1,891万円(54.9万円/34.5月分)
勤続35年以上…2,037万円(52.4万円/38.9月分)
※数値左より、1人平均定年退職給付額(退職時の所定内賃金/月収換算)
出所:厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』
安定した収入は確保できたものの、大幅な給与減や仕事内容の変更により、モチベーションの低下は否めません。これまでの経験や実績を発揮できる会社への転職も考えなかったわけではありませんが、60歳以降の転職は想像以上に厳しいことは先輩から学びました。最近は、不安のない老後を実現するためにも、現状、与えられた環境で頑張ろうという気になっているといいます。
一方で長いサラリーマン人生をまっとうできているのは、常に支えてくれる妻、智子さん(仮名・58歳)の存在があります。結婚以来、徹さんが仕事に専念できるよう、家庭をしっかりと守ってくれた智子さん。定年という節目を迎え、改めて感謝の念を強く抱くようになりました。
――何か、喜ばせることをしたい
そう考えた徹さんは、かねてから夫婦の憧れだった海外旅行を計画します。行き先はマレーシアのリゾート。美しい海と豊かな自然に囲まれたその場所は、シニアの移住先としても近年人気が高まっていると聞いていました。そのようなところであれば、初めての海外旅行でも安心だろう。そう思って決めたといいます。