自宅売却は「少なくとも5年、できれば10年以上」
ここで注意していただきたいのは、所有期間の算定は「売却した年の1月1日において」というところです。つまり、買ってから売るときまでが5年あるかどうかで判定するわけではありません。
たとえば、令和元年2月3日に買った土地があるとしましょう。この土地を令和6年4月1日に売ったとしたら、これは短期譲渡所得に区分されます。所有していた期間そのものは5年以上あるわけですが、令和6年1月1日時点では5年以下だからです。
長期譲渡所得を狙って売却をしたい場合は、所有期間に気をつけなくてはなりません。また、所有期間のカウントは、契約日ではなく引渡日が基準になることも覚えておいてください。
さて、このように譲渡所得は長期に区分されると税金が少なくなるわけですが、自宅を売却する場合は、さらに所有期間の長さによる優遇措置が用意されています。いわゆる「軽減税率の特例」というものです。
この特例の条件も複数ありますが、ポイントとなるのが、「売った年の1月1日において、売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること」というものです。条件を満たすと所得6000万円までは所得税10%、住民税4%まで下げることができます。
さらに、自宅を売却した場合は、「3000万円の特別控除」という特例も重複して使うことができます。このあわせ技で、税金をほぼゼロにすることも不可能ではありません。自宅を売却するときは「少なくとも5年、できれば10年以上」とイメージしておきましょう。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年3月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官
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