まずは公的制度、不足部分は民間の保険や年金で
それでも私は、まずは節税メリットの高いiDeCoや小規模企業共済、国民年金基金などの公的制度を中心に考え、不足する部分については民間の保険や年金を活用するほうが合理的だと考えます。
ちなみに、iDeCoや小規模企業共済とくらべた国民年金基金の特徴は、将来の受取方法を柔軟に設計できる点にあります。支給開始の年齢を設定できる他、決まった年齢まで支給を受ける「確定年金」と、生涯にわたり年金を受け取ることのできる「終身年金」のいずれかを選択することも可能です。そして、受取時には公的年金等控除の対象になるので、この点も節税メリットとして挙げられます。
国民年金基金などの公的制度に対する節税効果は、ある意味で個人事業主の特権ともいえるものです。これを使わないのはもったいないです。
サラリーマンの場合、小規模企業共済と国民年金基金を使うことがそもそもできません。さらに、iDeCoについても、自営業者が月額6万8000円までを拠出できるのに対し、サラリーマンは条件によって月額1万2000円〜2万3000円に設定されています。
ちなみに、将来に向けた資産形成をするうえでは、NISAや、つみたてNISAも効果的です。これらは所得控除とは関係しないので本稿では説明していませんが、資産形成するうえでは考えてみてください。
本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2021年3月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。
小林 義崇
フリーライター 元国税専門官