コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増える中、マンションやアパートでは生活音に関するトラブルが深刻化しています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、騒音トラブルの事例を紹介していきます。

上の階の男性は不眠症に…引っ越し費用は家主負担?

「もともと女性は、精神的に何か抱えていたのかなぁ。それともコロナで追い詰められちゃったんだろうか。上の人はただ寝ているだけっていうのに音がうるさいとなれば、これは女性側に問題があるとしか思えないよね」 

 

ため息交じりで、安部さんは言います。

 

「そうこうしているうちに、上の男性が退去したいって言いだして。そりゃそうだよね。毎日緊張の連続だから。不眠症になったって言ってたなぁ。先方からしたら当然なんだろうけど、引っ越しの費用を要求されちゃってね。今家主と金額の調整をしているところです。ほんと家主からしたら、踏んだり蹴ったりですよ」 

 

結局その物件は、男性が退去した後も、未だ新しい入居者を募集できずにいます。今のところ女性は大人しくしていますが、家主は、包丁を振り回した入居者が階下にいるということを告知しないといけないのでは、というところで募集を躊躇(ちゅうちょ)してしまっているのだそうです。むろん告知してしまえば、入居を希望する人などいないことでしょう。 

 

仮に秘して新しい入居者を確保できたとしても、「聞いていたらこの物件を選ばなかった」と言われかねません。そうなるとまた転居費用だの、損害賠償だの、事態はややこしくなるだけです。 

 

住まいは安心すべき場所。そんな場所にこんな女性がいたら……。一定期間様子を見て、大人しくしている実績ができたら、その時に募集を始めるということでした。 

 

家主の損失は、転居した男性への費用負担と、空室期間の賃料を合わせれば、軽く100万円を超えてしまいます。「コロナで先行きも分からない中、お金の負担も痛いけど、それ以上に本当に事件にならないか、寝られない日々ですよ」

 

家主の悩みも尽きません。2

 

※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

 

太田垣 章子

OAG司法書士法人代表 司法書士

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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