老後不安から資産形成の重要性が叫ばれていますが、それでも「貯蓄がない」という世帯は一定数いるもの。その先にはどのような未来が待っているのでしょうか。金融広報中央委員会の調査などから紐解いていきます。

貯蓄なしで定年…退職金は何年で底をつくのか?

老後を見据えたお金は退職金頼り……そんな人も多いのではないでしょうか。厚生労働省『平成30年就労条件総合調査』によると、「退職金制度のある企業」は80.5%。企業規模が大きい企業ほど、制度の充実が見られます。

 

■企業別退職金制度の有無

従業員1000人以上 92.3%
従業員300~999人 91.8%
従業員100~299人 84.9%
従業員30~99人 77.6%

 

また中央労働委員会事務局総務課広報調査室『令和元年賃金事情等総合調査」によると、平均退職金額は851万1000円です。

 

■産業別平均退職金額

鉱業:1224万7000円
製造業:762万円
建設:685万3000円
銀行・保険:678万2000円
私鉄・バス:1078万1000円
海運・倉庫:394万1000円
電力:1110万4000円
百貨店・スーパー:1737万2000円
商事:1089万3000円
新聞・放送:1456万7000円
ホテル・旅行:728万5000円

 

仮に「親+未婚の子、貯蓄なし世帯」の子どもが平均的な退職金を手にしたとしましょう。子どもが年金を受け取るまではあと5年。早期受給の制度もありますが、5年間、退職金を切り崩しての生活を試みます。

 

総務省『家計調査 家計収支編 2020年』によると、世帯主が60~64歳の二人以上世帯の毎月の消費支出は29万3170円。単純計算すると、1年で351万8040円になります。仮に親が平均的な年金受給額14万円を手にしていたとすると、年間183万8040円、5年で919万200円となります。退職金では少々足りないので、生活費の切り詰めは必須です。

 

なんとか子どもの年金生活に入ったとしましょう。二人合わせ28万円。前出の家計調査によると、世帯主65~69歳世帯の消費支出は27万4798円、70~74歳世帯では24万6656円と、年金だけでも暮らしていける水準です。

 

しかし高齢の親。介護が必要となることは十分に考えられます。介護度が進行し、介護施設への入所を希望したとしましょう。厚生労働省『サービスにかかる利用料』によると、要介護5で介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入居した際の1ヵ月の自己負担額は、多床室を利用した場合で10万2200円、ユニット型個室を利用した場合は13万9500円。介護老人福祉施設の平均入所期間は約4年なので、多床室であれば約490万円、個室であれば約669万円が必要です。あくまでも平均値からの算出なので、それ以上の費用を見ておく必要はあるでしょう。

 

前出の「親+未婚の子、貯蓄なし世帯」の場合、このような介護施設への入所が叶うとは考えにくく、老老介護になるのは目に見えています。厚生労働省『国民生活基礎調査』によると在宅介護をしている世帯の半数以上が老老介護の状態にあるとか。さらに他を頼りたくても貯蓄がない世帯であれば、全負担は家族にかかります。それがどれほど大変なものか、経験した人でないと分からないでしょう。

 

高齢化が進むなか、早め早めの資産形成のスタートが求められています。

 

 

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