多くの日本人が何気なく飲んでいる「コーヒー」と「発展途上国の貧困」が密接につながっていることはあまり知られていません。そこで、池本幸生氏、José. 川島良彰氏、山下加夏氏の連著『コーヒーで読み解くSDGs』(ポプラ社)より、身近な飲み物であるコーヒーを切り口として、コーヒーと貧困について解説します。

私たちが飲んでいるコーヒーは貧困を生み出している?

また最近のコーヒー価格も1ポンド(454グラム)が1ドルを切る水準にまで下がっており、世界各地のコーヒー生産者は貧困に苦しんでいます。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

けれども日本でそのようなニュースを見る機会はほとんどありません。だから、日本の消費者はそのような状況に気づくことなく、安いコーヒーを楽しんでいるのです。

 

もし今飲んでいるコーヒーが、開発途上国のコーヒー生産者に貧困という犠牲を強いているのだとしたら……。

 

あなたはそれでもそのコーヒーを「美味しい」と感じることはできますか?

コーヒーの国際価格の変動と「コーヒー危機」

グラフは、1976年から2018年にかけてのコーヒー(アラビカ種とロブスタ種)の国際価格の推移を示しています。

 

コーヒーの国際価格の推移(1976年~2018年)
コーヒーの国際価格の推移(1976年~2018年)

 

両者の価格はほぼ同じように変動し、どちらも8〜9年に1回くらいの頻度で価格の高騰が起こっているのがわかるでしょう。

 

価格高騰の原因の多くは、世界第1位のコーヒー輸出国であるブラジルでの不作にあります。ブラジルは世界のコーヒーの3割以上を生産しているコーヒー大国であるため、その影響がダイレクトに価格に反映されてしまうのです。

 

コーヒーの不作を引き起こす原因は、干ばつや霜害です。そもそもコーヒー樹は気候の変化に弱いという特徴があり、雨季に十分な雨が降らなかったり、冬に霜が降りると、すぐに枯れてしまいます。つまり、気候に大きく左右されるコーヒーは、安定した生産量を維持するのが他の農作物以上に難しく、それが価格変動を大きくしている一因となっているのです。

 

グラフを詳しく見ると1977年4月、1986年1月、1994年9月に現れた価格高騰のピークの間隔はそれぞれ8年9カ月と8年8カ月であり、ほぼ同じ間隔になっています。ところが、その次のピークは1997年5月に訪れていて、その前のピークからわずか2年8カ月しか経っていません。

 

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コーヒーで読み解くSDGs

コーヒーで読み解くSDGs

Jose.川島 良彰、池本 幸生、山下 加夏

ポプラ社

あたなの知らない、コーヒーとSDGsの世界。 コーヒー、経済、開発援助の専門家3名がいざなうコーヒーで未来を変える旅。 コーヒーには、SDGsのアイデアがあふれている! #コーヒー危機と世界経済 #コーヒーがもたら…

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