自立と自律…ふたつの「じりつ」が健全な育ちの要
「自分らしく生きていくための力」の源は、「探求力」「計画力」「実行力」の3つに集約されるのですが、それらの力を得るためには、ふたつの「じりつ」が欠かせません。
漢字で書くと、「自立」と「自律」。ふたつの「じりつ」が両輪として育つことで、社会の中で「一人前」として生活できるようになります。
「自立」は、人の助けを借りずに、自分で生きることを指します。仕事をしてお金を得るだけでなく、生活するために必要な「衣食住」を、自分で管理できるようになることも自立の一つです。
一方の「自律」は、自分で自分をコントロールし、自分の意志によって行動することです。自立に比べると、内面的な要素が強くなります。人から命令されたり、決められたことを実行するだけでなく、自分自身で進むべき道を決め、信念をもって道を進む行動規範のようなものです。
自立と自律は学校や社会で必須の要素
自立が年齢相応に育っていないと、「自分のことが自分でできない子」になってしまいます。保育園や幼稚園のあいだであれば、何とか乗り切ることができるかもしれませんが、小学校に入学すると事は深刻になっていきます。
持ち物や宿題の管理、先生の指示や説明を聞く、授業の準備など、ほかの子が難なくこなしていることができずに、注意される、叱られることが増えるかもしれません。学年が上がるごとに状況は厳しくなり、授業についていかれなくなる子もいます。
子ども本人は「なぜ自分だけできないのか」を理解できずに苦しみ、結果として学校が嫌いになってしまったり、子どもによっては不登校となってしまうケースもあるほどです。
自律は人間形成に欠かせないものです。物事の善悪の判断や気持ちのコントロール、他者の気持ちを理解する、人のために尽力する、自分の目標を決めてそれに向けて努力する…。こういった自己決定のすべては自律の心から生まれます。
法律や決められたルールを守るのはもちろんですが、「やって良いこと」「やってはいけないこと」「やったほうが良いこと」「やらないほうが良いこと」を自分で判断して、行動に結びつける指針になるのが自律の心です。
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