離婚はスムーズに進むものばかりではなく、トラブルに発展してしまうことが多いもの。万が一に備えて、日頃から知識を仕入れておくことが重要です。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、「離婚とお金の関係」について解説していきます。

夫婦間の「財産分与」、基本的な割合は…

「財産分与」とは、婚姻後に形成された夫婦の共有財産を分配することです。たとえば、預貯金や共有不動産、保険など、それぞれの貢献度に応じて分配すべきこととされていますが、分与の割合は1/2ずつが基本です。

 

よく芸能人の離婚などで「慰謝料〇千万」のように報道されているのは、厳密な意味での「慰謝料」ではなく、「財産分与」としてのものであることが多いです。

 

財産分与は基本的には離婚原因とは関係なく、離婚に伴う夫婦間の財産関係の清算=清算的財産分与として行われます。ですから、不倫をして離婚の原因を作った妻からであっても、離婚について合意ができる以上は夫から財産分与を受け取ることも可能となります。

 

そのほか専業主婦や高齢者、もしくは病気の場合など、離婚により元配偶者が困窮する場合には、扶養的な意味での財産分与が認められる「扶養的財産分与」があります。また、慰謝料としての意味を含む「慰謝料的財産分与」もあります。

 

特に不動産を伴う財産分与については、計算の仕方で分与額が変わることも。また、お金によらずに「不動産を譲ってもらう」「居住権を認めてもらう」などさまざまな解決方法があります。

 

なお財産分与の請求には、離婚してから2年以内という期間制限があるので気をつけましょう。

お互いの「退職金・年金」分割はどうなる?

熟年離婚が増えてきた昨今、財産分与と関連し、この二つは今後の生活の糧になる場合が多いので要注意です。退職金の分配を受けるには、支給が確実であると見込まれていることが必要になります。また、全額が対象ではなく婚姻期間に応じた金額が対象となります。

 

年金の分割は、婚姻期間中の『厚生年金の払込保険料』に応じて原則1/2の割合で分割することができます。

 

平成19年以降に結婚した方は「3号分割」により、3号被扶養者は一律2分の1の分割を受けることができます。これ以前の場合は「合意分割」により、当事者間の合意が必要になります。

 

年金分割をすると「将来、受け取る年金の半分がなくなる(もらえる)の?」と思う方も多いようですが、2階建ての年金の1階部分である『国民年金』や、3階部分である『厚生年金基金・国民年金基金』は対象外となります。

 

また厚生年金部分についても、婚姻期間中の納付実績に対して分割するので、将来受け取る予定の年金の半分を分割するわけではないことに注意が必要です。

 

なお、年金受給資格が実際に発生するのは納付済期間が25年以上であることが必要ですので、せっかく分割したとしても、納付期間がそれ以上ないとそもそも受け取れないこともありますから注意しましょう。年金分割の請求も離婚が成立してから2年までの期間制限にかかります。

 

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    本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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