離婚はスムーズに進むものばかりではなく、トラブルに発展してしまうことが多いもの。万が一に備えて、日頃から知識を仕入れておくことが重要です。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、「離婚とお金の関係」について解説していきます。

新生活の時期は、弁護士への「離婚相談件数」が増加

春は出会いと別れの季節です。子どもの進学・進級や新しいスタートの時期に合わせて離婚に進める方も多く、弁護士への離婚相談件数が増える時期です。

 

「離婚」が頭によぎったとき、次の3つのポイントから考えると、状況を整理することができます。

 

・同意があるか・ないか

・子どものこと

・お金のこと

 

今回は、「離婚とお金の関係」について見ていきましょう。

 

離婚とお金の関係は…(画像はイメージです/PIXTA)
離婚とお金の関係は…(画像はイメージです/PIXTA)

別居・調停中は、相手に「婚姻費用」を請求できる

別居後、離婚までの間は、生活費である『婚姻費用』が請求できます。「婚姻費用」とはあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、要は、別居後・離婚までの一方の配偶者と未成熟の子が、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。

 

離婚に関する話し合いや裁判の途中で別居していても、法律上は夫婦であるので、夫(もしくは妻)に対して生活費の請求ができます。

 

養育費と同様、家庭裁判所の裁判実務では、標準的な生活状況を基準に作成された婚姻費用算定表に基づいて決められることが多く、「請求した時点」から認められることになっていますので、後になって過去の未払い分を請求するのは困難です。

 

婚姻費用は離婚が決まるまで、もしくは再び同居するまで発生します。

「養育費」は実際どのぐらいの金額になるのか?

離婚確定後、子どもの『養育費』が請求できます。こちらも多くの場合は、家庭裁判所実務ではいわゆる養育費算定表を基準にして決められます。(『平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告』より)
 
この「算定表」に基づいて計算すると、

例)年収夫600万円(給与収入)・妻100万円、3歳・6歳の子が2人の場合
養育費は2人分で月額8~10万円(1人につき4~5万円)

 

上記のように思ったより低い金額なのが実状です。なお、一度決めても事情が変わった場合に増額請求・減額請求が可能です。

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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