離婚はスムーズに進むものばかりではなく、トラブルに発展してしまうことが多いもの。万が一に備えて、日頃から知識を仕入れておくことが重要です。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、子持ち夫婦が離婚時、取り決めておくべきことを解説していきます。

新生活の時期は、弁護士への「離婚相談件数」が増加

春は出会いと別れの季節です。子どもの進学・進級や新しいスタートの時期に合わせて離婚に進める方も多く、弁護士への離婚相談件数が増える時期です。

 

「離婚」が頭によぎったとき、次の3つのポイントから考えると、状況を整理することができます。

 

・同意があるか・ないか

・子どものこと

・お金のこと

 

今回は、保護者の頭を悩ませる、「離婚と子どもの関係」について見ていきましょう。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

まず考えるべき点は、「親権者をどちらにするか」

日本では協議・裁判離婚を問わず、夫婦間に未成年の子がいる場合、必ず夫婦の一方を親権者に定める単独親権をとる必要があるのです。また親権・監護権の2種類があり、下記のような違いがあります。

 

●親権…未成年の子どもを養育し、その財産を管理し子どもの代理人として法律行為をする権利義務。子どもの身の上に関することや、子どもの財産をどのように使うかを決定する権利義務。

 

●監護権…親権のなかの「身上監護権(居所指定権・懲戒権・職業許可権など)」のみを取り出した権利義務。いい換えれば親が子どもの近くにいて子どもの世話や教育する権利義務。

 

離婚時に離婚届に記入しなければならないのは「親権」だけで、監護権についてはわざわざ記入の上で提出することはしません。

 

親権者と監護権者は一致させることが一般的ですが、親権者が監護できない事情がある場合や、親権者でない方が監護権者として適当な場合は別々になることもあり得ます。この場合、子ども名義の預貯金の解約や、子どもを名宛人とする生命保険金の受取などは、親権者でないとできないということになります。

問題になっている「養育費の不払い」を防ぐためには?

子どもを監護する親は、そうでない親に対して、子どもを育てていくための養育費を請求することができます。

 

養育費は離婚後も“子どもに生活水準の高いほうの父母と同等の生活を維持すること”を理念としています。そのため離婚後の夫妻の収入のバランスによって、収入レベルが接近していれば養育費は低く、収入レベルがかい離していれば養育費は高くなることになります。

 

また、昨今では養育費の不払いが問題になっています。離婚時に養育費の取り決めをしたひとり親世帯は、母子世帯で42.9%にとどまり、養育費を受けているのが母子世帯のたった24.3%です。

 

離婚のときに、協議離婚なら公正証書を作成するか、調停離婚・裁判離婚にすることで、養育費の取決めに強制力を持たせることができます。

 

裁判所で取り決めたものであれば裁判所に払うよう勧告してもらったり、最終的には給与や預金を差し押さえたりできますが、協議で決めたものだと仮に不払いが起きたとしても差し押さえはできませんので、必ず公正証書にしておく必要があります。

 

注目のセミナー情報

​​【国内不動産】11月16日(土)開催
【今年度分の確定申告にまだ間に合う!】
超・減価償却「築古アパート投資」の新発想!
〈節税+家賃収入+売却益〉投資元本2倍のしくみを大公開!

 

【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術

次ページ「面会交流権」について

本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧