不動産の告知事項と聞けば、孤独死や殺人事件をイメージしがちですが、じつはそういったケースばかりではありません。告知事項とは、不動産業者が買主・賃借人に必ず伝えなければならないとされている事柄を指します。今回は、「告知事項あり」との記載が義務付けられている「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」という4つのパターンについて解説します。

あの都心一等地も、以前はいわくつきだった!?

 

1964年の東京オリンピック以前の話ですが、東京・南青山は広大な墓所(青山霊園)と寺社しかない地味な場所だったと聞きます。それがいまや時代の最先端を行く街に変貌しています。同じく東京・港区には徳川家に所縁のある増上寺、中央区には京都・西本願寺の直轄寺院である築地本願寺があり、いずれもかつては周辺一帯に寺院や墓所が点在する地域でした。

 

現在はそのほとんどが移設され、跡地にはスタイリッシュなタワーマンションやオフィスビルが誕生しています。「寺社周辺の土地は〇〇が出る」というのが解体業者間の語り草でしたが、最近はそんな話も聞こえてこなくなりました。古くからの住人が少なくなり、史実は次第に風化していき、いまでは誰もが羨む都心の一等地となっています。

物理的・環境的瑕疵は実害を伴うため、慎重に検討を

 

心理的瑕疵であるか否かは文字通り、そこに住む人がどのような心持ちになるかに左右されます。事故物件であっても利便性豊かな場所にあれば入居者は集まるため、投資家にとっては有益な物件になります。

 

ただし、物理的瑕疵や環境的瑕疵物件については実害が伴う可能性が高いので、購入の際は慎重に検討する必要があります。

 

法的瑕疵物件は関西圏に多いというのが通説ですが、関東圏においても皆無ではありません。とくに東京都心の古い街並み(私道が入り組んだ場所など)のなかに建つ築40年以上の木造一戸建ては、周辺相場より明らかに安価で販売されていますが注意が必要です。そういった物件について不動産業者に問い合わせる際、「この土地を更地にして建物を新築することができますか?」と聞いてみると、恐らく「できません」という答えが返ってくるでしょう。

 

 

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※本記事は、「ライフプランnavi」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。

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