ビジネス上の重要なアイテムである「名刺」。交換の仕草ひとつで、相手に与える印象が大きく左右されます。トヨタ自動車人事室での採用・教育経験もある中山佳子氏が、新社会人がおさえるべき、基本のビジネスマナーについて分かりやすく解説します。※本記事は、『スマートに働くための ビジネスマナー基本集』(大泉書店)より抜粋・再編集したものです。

表情や発声にも注意…名刺交換の重要ポイント

【名刺は自分の分身、相手の分身という認識を】

 

ビジネスシーンで初対面の人とまず行うのが名刺交換です。この名刺は「分身である」という認識をもちましょう。相手の名刺は相手の分身なので、相手そのものを丁重に扱っているという表現として、名刺交換の際の名刺の位置に配慮したり、名刺入れの出し入れも丁寧に行うことが大切です。また、第一印象に関わる場面なので、正しい名刺交換の仕方に加え、表情や発声にも注意しましょう。

 

●名刺交換のマナー

 

 ★名刺入れは必ず持つ 

 

名刺入れは必ず用意しましょう。財布や定期入れを名刺入れ代わりにするのはNGです。自分の名刺と同様、相手の分身を納めるものだからです。

 

 ★名刺のロゴや文字には指をかけない 

 

名刺に書かれてある情報には指をかけないようにします。何も書かれていない部分を持ってやり取りを行います。

 

 ★目下から先に出す 

 

目下から、または訪問側から先に名乗るのがルールです。タイミングが悪く、目上の方が先に名刺を渡してくださった場合、まずは受け取ってから、「申し遅れました。わたくし~」と続けます。

 

 ★障害物をはさまず立って渡すのが原則 

 

お互いに立った状態で、相手と自分の間には何もない状態の場所で名刺交換をします。両手で胸の高さで自分の名刺を持ち、相手に文字を向けて社名と名前を名乗りながら笑顔で差し出しましょう。

 

 ★ウエストの位置から下げない 

 

相手の名刺をウエストより下げないように。ウエストより下は、大事なものではないという表現になります。

 

●名刺受け渡しの流れを解説

 

 ①名刺を持ち、相手の正面に立つ 

 

名刺入れから名刺を取り出し、文字を相手に向けて名刺入れの上に置きます。名刺交換する相手と自分の間に障害物のないところで、相手の正面に立ちます。

 

 ②名乗る 

 

訪問した側または目下の人から先に名乗ります。アイコンタクトを取りながら「わたくし、〇〇会社、〇〇部の〇〇〇〇と申します。どうぞよろしくお願いいたします」などとハキハキと名乗りましょう。

 

 ③名刺を差し出す 

 

名刺を両手で持ち、相手の胸元あたりに差し出します。相手の名刺も自分の名刺もロゴや文字に指をかけないように。

 

 ④名刺を受け取る 

 

相手の名刺は「頂戴いたします」と言いながら軽く一礼し、両手で胸の位置で受け取ります

 

【同時交換】
 

実際の場面では、スピードを優先させ同時交換で行うことがほとんどです。同時交換は、まずはお互いが自分の名刺を両手で持ったまま名乗り合います。このとき先に名乗るのは訪問側または目下の人からです。両者が名乗り終えてから、右手で名刺を差し出しながら、同時に相手の名刺を左手の名刺入れの上で受け取ります。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

●複数での名刺交換の流れ

 

名刺交換は訪問側または目下からという順番がありますが、混乱しがちなのが複数での名刺交換。お互い上司と部下など複数で名刺交換をする場合は、「役職の高い順」に名刺交換を始めます。上司より先に自分が名乗ることのないように注意しましょう。

 

 ①上司同士が交換する 

 

 

 ②役職の高い順に交換する 

 

訪問側が、次に名刺交換する相手の前に移動し、両者同時に交換します。

 

 ③部下同士が交換する 

 

●名刺管理

 

 ★その日のうちに整理する 

 

いただいた名刺は名刺入れに入れっぱなしにしないよう、その日の内に整理します。職種別、あいうえお順など自分がわかりやすいルールで仕分けをするといいでしょう。

 

 ★データ化して保管する 

 

名刺ボックスや名刺ファイルを使うことが多いのですが、最近は名刺をスキャンしてデータ保存して共有する方法もあります。職場のルールに従って保存しましょう。

 

 ★相手のことを記録する 

 

名刺交換した日付や用件、さらに相手の趣味など話題に上がったことなどを名詞の裏などに消せる筆記具で記録しておくと次に会ったときの話のきっかけになります。

 

●名刺の取り扱い


 ★名刺のしまい方 

 

打合わせが終わり、相手の名刺を名刺入れにしまうときも文字情報に指をかけないなどのルールを守り、名刺に頭を下げるようにして丁寧に納めます。立ち話のみの場合は、相手の名前を覚えたらすぐに名刺入れにしまっても構いません。

 

 ★相手の名刺は汚さない 

 

いただいた名刺に相手の目の前で情報を書き込まないようにします。話の流れで携帯番号などを伝えられることもあり、つい名刺に書きたくなってしまいますが、相手そのものである名刺を汚すことになり大変失礼な行為にあたります。ただし、自分の席に戻り名刺管理の段階に入ったら書き込んでも構いません。

 

 ★名刺をきらしてしまったら 

 

想像以上に名刺交換相手が多く、途中で名刺をきらしてしまったら「申し訳ございません。名刺をきらしてしまいましたので、追ってお送りさせていただいてもよろしいでしょうか」などとお詫びの言葉を伝え、相手の名刺をいただきます。

 

 ★名刺の置き方 

 

打合せなどが続く場合は、すぐにはしまわず打合せの間は名刺入れの上に置いて机に置きます。名刺が複数ある場合は、座席の順に机に並べます。

 

 

名刺は目の前の並び順に自分の左側に置きます。バラバラに置かないように注意!

 

 ★名刺は落とさない 

 

名刺を落とさないよう十分注意します。名刺交換のときや机の上に置いたときに、何かのはずみで床に落とすことなどないよう気をつけましょう。特に机の上に資料を多く広げなければいけないときは、落とさないよう打合せ途中でも名刺入れにしまう場合もあります。

 

来客応対で今すぐ使える!覚えておきたいフレーズ集

部屋へ案内するとき

  「応接室にご案内いたします。こちらへどうぞ」

どちらにご案内するかもお伝えします。「こちらへどうぞ」の言葉とあわせて、向かう方向を手のひらで示します。

 

お客様の荷物が大きかったり、量が多いとき

  「よろしければ、お荷物をお持ちいたしましょうか」

お客様の負担ができるだけ少なくなるよう配慮しましょう。

 

段差がある場合

  「こちらに段差がございますので、お気をつけください」

足元に危険があると思われる場所では、ひと言声をかけます。

 

上座に座っていただくとき

  「こちらにおかけください」

上座を手のひらで指し示し、しっかり上座に座られるところまで確認します。お客様が下座に座らないように配慮します。

 

担当者が予定より遅れる場合

  「申し訳ございません。田中は前の予定が延びておりまして、
   あと10分ほどお待ちいただけませんでしょうか」


約束の時間より担当者が遅れることがわかったら、訪問者にお詫びし、予定時間を伝えます。

 

お客様がコートを着ないまま退出しようとした場合

  「どうぞこちらでコートをお召しください」

お客様は建物の外に出てからコートを着るというマナーがありますが、それでは寒いので配慮として室内で着用するよう声をかけます。

 

 

中山 佳子

株式会社フィールドデザイン 代表取締役
一般社団法人書道能力開発協会 理事長

 

 

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