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受験科目が減るという唖然の事実
書籍を読んだ人は知っていることだが、まず、主人公が通っていたのは中高一貫の有名お嬢様学校であり、彼女はすでに中学受験を経験済みだ。そして、彼女が現役合格したのは、慶応大学総合政策学部。
一般的に、私学大学文系学部の受験では、「外国語」「国語(現代文、古文、漢文など)」「地歴(日本史、世界史など)」の3科目を勉強する必要がある。しかし、総合政策学部の試験は、「数学または情報」あるいは「外国語」あるいは「数学および外国語」+「小論文」、要は2科目しか受験しなくてよい。
日本史や世界史はいわずもがな、細かい文法を覚えなければならない古文や漢文は、「時間をかけてどれだけ暗記したか」が点数を如実に左右する。一方、受験科目のなかで、これらの配点は総じて低い。費用対効果が非常に悪いのだ。「古文と世界史は完璧だったのに合格できなかった」、逆に「ほかはボロボロだったけど英語が完璧だったから合格できた」という事例は、かなりの確率で起こっている。
つまり、慶応大学総合政策学部を狙うと、上記暗記科目にかかる時間や費用をすべて、数学や外国語、そして小論文に費やすことができる。このコストカットは大きい。
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科目数が減る、という事実だけでも結構な驚きだが、受験の形態はほかにもある。例えば、筆記試験はなく、書類選考と面接によって合格できるAO(アドミッション・オフィス)入試。細かい選考方法は大学ごとに差があるが、ざっくばらんにいえば、「やる気」だけで合否が決まるすごい制度だ。導入している大学は多くあるので、誰にも負けないエピソードやアピールポイントを持っているのなら、AO受験を考慮してもいいだろう。
このように、一言で「大学受験」といっても、その方法は様々。受験の結果を見る限り、ビリギャルの物語は、下剋上というよりも、「戦略的勝利」と呼ぶべきなのかもしれない(彼女の場合、他大他学部も受験していたが)。子どもを大学受験させるなら、「勉強しろ!」と頭ごなしに指示する前に、試験形態を把握し、一緒に計画を立てることが第一に求められるのである。