先進国を中心に株式市場は活況を満ちているなか、注目を集めているフィリピン株式。現地で日々フィリピン経済を調査している一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が先週の株式市場を振り返り、今後の見通しについて解説していきます。
フィリピン企業…主なニュースは?
主な企業ニュースをみていこう。
・政府は民間水道会社「マニラウォーター」とのコンセッション契約を更新
フィリピンは民間主導の経済で、水道、道路、空港など多くの社会公共インフラが民間資本で建設・運営されているケースが多い。PPPプロジェクトを専属で管轄する政府機関があるほどだ。
フィリピンは日本とは対照的に人口が1億人から今後も1億5000万人に向けて増加。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の多くが、2010~2030年代にかけて終了する見込みだが、フィリピンでは人口ボーナス期が50年代まで続くとみられている。こうしたことから、フィリピンの電気、水道などの社会公共インフラ関連会社は長期的な恩恵を得られると考えられている。
・フィリピン初のREIT「アヤラリート」が、追加で155億ペソ相当の商業用不動産資産をポートフォリオに投入することを発表。これにより「AREAIT」は1株32ペソで6%の配当利回りを確保することができる高配当銘柄としてさらに人気が出ると予想。
日本でもリートは高配当銘柄として人気だが、フィリピンの場合には、今後訪れる高度経済成長により、日本の1960~1990年のような不動産価格の上昇も充分期待できるので、Dividend Playとしての魅力だけではなく、待できる魅力的な投資対象ではないだろうか。
・「Prime Media Holdings」はカジノライセンスを取得し、これからホテルやレジャーの分野に注力していく。
・アジア最大小売「コングロマリットSM」の取締役会は、物流会社「2GO」への出資比率を30.49%から、少なくとも発行済議決権資本の過半数に引き上げることを決定。そのため、フィリピン最大小売系財閥「SM」は物流企業「2GO」の株式を1株あたり8.50ペソで公開買付けを行っています。「2GO」は「SM」の小売業からのビジネス流入により経営再建していく。
決算発表した24銘柄のうち、13銘柄が年間予想を下回り、8銘柄が上回り、3銘柄が予想数値通りとなった。
コロナ感染者数が再びフィリピンで急増し始めたこと、また陽性率が上昇していることから、前週比で293ポイントの減少となった。外国人は30億ペソの売り越しとなり、これで5週連続の売り越しとなり、年初来では285億ペソの売り越しとなった。
コロナ感染者数は1日平均で約5,900件、合計の患者数はパンデミックが始まって以来の最高記録となる83,000人以上になっている。さらに、いくつかの病院では、すでにフル稼働の状態であると報告。実際、マニラ首都圏では、COVID-19の患者用に割り当てられたICUベッドの74%以上がすでに埋まっている。
ワクチンの配布は思ったように進んでおらず、これまでのところ、30万人強がワクチンを接種しており、これは国の人口の約0.30%に相当。これまでに国が受け取ったワクチンは100万本強で、これは国の人口の約1%に相当する。
【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング
エグゼクティブディレクター
慶応義塾大学経済学部卒業後、東急電鉄に入社し、海外事業部にて、米国・豪州・ニュージーランド・東南アジアなどで不動産開発や事業再構築業務に従事。また、経営企画部門にて東急グループの流通・メデイア部門の子会社・関連会社の経営・財務管理を実施した。(約15年)
その後は、コンサルティングファーム(アクセンチュア・ユニシス)や投資ファンド(三菱UFJキャピタル)などで、企業や自治体の事業再構築、事業民営化等の支援や国内外のM&A案件のアドバイザリーを実施。現在、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングにて、日本他の投資家および企業、ファンドなどに対してフィリピン不動産の販売やフィリピンへの事業進出のアドバイスを行っている
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載投資すべき国No.1「フィリピン」を取り巻く最新事情