3月29週のフィリピン株式市場の振り返り
3月31日のフィリピン株総合指数(PSEi)は、前日比-62.23(-0.94%)の6,545.55となった。セクター別騰落率は以下の通り。
4月1日時点のコロナ感染者が10,016件と過去最高を記録したことからマーケットは下落した。現在、市場はレンジ内で推移しており、当面の抵抗線は6,600~6,700、支持線は6,500~6,400となっている。過去のバリュエーションよりもかなり割安になっている財閥株などのブルーチップ銘柄もかなりあり、仕込みどきといえる。
ウイルス感染者の増加を受けて、世界銀行がフィリピンの2021年GDP増加見通しを5.9%から5.5%に引き下げた。一方、フィリピン国家経済開発庁(NEDA)は今年のGDP成長率目標を6.5%に据え置いた。
フィリピン中央銀行(BSP)は、金融緩和を終了するには時期尚早と判断し、政策金利を2%に据え置き、今年のインフレターゲットは、通年の平均4%から修正され、4.2%とした。
また2月の失業率は8.8%で、マニラ首都圏および近郊の州で前月1月の8.7%よりも若干上昇した。この結果、420万人のフィリピン人が失業していることになる。失業率の高さは、経済全体の約70%を占める民間消費にとって、引き続き懸念材料となる。しかし、一部の小売企業は、パンデミックのなかでも、消費者が必需品に集中することから、「PGOLD」「RRHI」「MRSGI」などの企業は回復力がある。
大統領の盟友…成長見込める通信分野への投資を強化
企業のニュースでは、「ダブルドラゴンリート(DDMPR)」が先週上場した。3月23日、2021年第一号IPOとして上場をした「ダブルドラゴンリート」だが、初値で2.25ペソを付けてからは一度も上昇することなく下落し、現在2.15ペソで推移している。「ダブルドラゴンリート」の組み入れている資産の多くは、マニラ市のベイエリアに位置するオフィスが多い。今後、BPO産業の需要拡大や鉄道路線の開通などの好材料があり、資産価値上昇が期待でき、中長期的には楽観的な予測をされている。
また、ダバオ出身でドテルテ大統領の盟友と言われている「ウデナグループ」を牽引するDennis Uy氏が「PNX(石油販売)」の株式を売却し、事業のリストラを進めている。「チャイナテレコム」と協業で参入した通信事業「DITOテレコム」への資本投下を強化していくと見られている。
今後長期的に大きな成長が見込まれているフィリピンの通信セクターは、「NTT」と提携する「PLDT」、「シンガポールテレコム」と提携する「アヤラグループ」の「グローブテレコム」が既存の2大勢力で、ここに第三勢力として「DITOテレコム」が参入するという構図になっている。さらに昨年IPOした「コンバージ」がブロードバンド回線事業に特化した事業展開をしている。
一方、「PNX」自体は市場シェアを伸ばしている。すでに「Chevron」と「Caltex」を追い越そうとしているので、リテール分野では「Petron」、さらには「Shell」に次ぐ確固たる第3位の地位を築く準備ができていて、世界的な原油価格の変動にもかかわらず、堅調な利益を計上している。
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