豪ドルは好調に推移
中銀は豪ドル高への警戒を高めず
■米国の追加経済対策や新型コロナワクチン接種の進展などを背景に景気回復期待が高まる状況下、リスク選好の動きが進み、景気に敏感な資源国通貨である豪ドルは上昇を継続しています。足元では対円で2018年2月以来の水準まで到達しています。
■豪州準備銀行(RBA)は2月の金融政策決定会合において、「豪ドルは上昇しており、近年のレンジの上限にある」と豪ドル高に対する懸念を示しました。しかし、さらに豪ドルが上昇した3月会合では、より踏み込んだ警戒感を示さず、豪ドル高に対しては現段階で様子見の姿勢を保っています。
GDP、雇用は堅調
国内景気は順調な回復継続
■10-12月期のGDPは前期比+3.1%となりました。市場予想(+2.5%)を上回り、前期(+3.4%)とほぼ同じ堅調な結果となりました。
■また、2月の雇用統計は失業率が5.8%と市場予想(6.3%)を下回り、1月(6.3%)から大幅に低下しました。就業者数も前月差+8.9万人と市場予想(+2.5万人)を上回り、雇用環境の順調な改善を示す結果となりました(※市場予想はFactSet集計)。
景気回復に伴い豪ドルは当面堅調な推移
■ロウRBA総裁は3月10日の講演で、先行きの景気に楽観的な見方を示しました。一方で、インフレ率がRBAの目標範囲(2~3%)に到達するのは早くても2024年の見通しで、それまでは政策金利を現状の水準に維持するとし、市場で高まっている利上げ観測をけん制しました。また、急激な長期金利上昇が生じた際などには、量的緩和(QE)も柔軟に調整するとしています。こうした緩和的な金融政策運営が維持される中、国内外の景気回復期待を背景に、豪ドルは今後も堅調な推移を辿ると見られます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『豪ドルの堅調さは今後も継続へ(2021年3月)』を参照)。
(2021年3月19日)
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