本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

早期の量的緩和縮小を否定

■米連邦準備制度理事会(FRB)は3月16日、17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標レンジ(0.00~0.25%)の据え置きと、国債買い入れなどの量的緩和政策の維持を決めました。

 

■会合後の記者会見でパウエル議長は、「新型コロナワクチン普及と財政出動によって景気回復は想定より早まる」ため、「年内に物価上昇率が2%を突破する」としましたが、「インフレ圧力は一時的で政策目標達成を意味するものではない」ことからゼロ金利の長期維持と量的緩和の早期縮小を否定する姿勢を示しました。

 

(注1)FFレート、10年国債利回りは2007年1月5日~2021年3月17日。2008年12月以降のFFレートは誘導レンジの上限を表示。 (注2)物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数の前年同月比で、2007年1月~2021年1月。 (出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
政策金利、長期金利と物価上昇率 (注1)FFレート、10年国債利回りは2007年1月5日~2021年3月17日。2008年12月以降のFFレートは誘導レンジの上限を表示。
(注2)物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数の前年同月比で、2007年1月~2021年1月。
(出所)FactSetのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

経済見通しは大幅上方修正
24年以降の利上げが大勢

■FOMC参加者の経済・金利見通しは、GDP、雇用、物価上昇率ともに前回(12月)見通しから大幅に上方修正されました。ワクチン接種と財政出動の進展が背景です。ただ、パウエル議長は予想ではなく実績の経済データを重視する姿勢を強調しました。

 

■FOMC参加者による政策金利見通し(ドットチャート)では、22年や23年に利上げを見込む参加者が若干増えましたが、「ゼロ金利の解除は24年以降」が大勢を占めました。

 

(注1)開催月は、FOMCで経済見通しを公表した月。 (注2)FOMC参加者による予測の中央値。実質GDP成長率とコア物価上昇率は10-12月期の前年同期比。コア物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数。失業率は各年10-12月期の平均値。FFレートは各年末時点における誘導レンジの中央値。 (出所)FRBの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
FOMC参加者の経済見通し (注1)開催月は、FOMCで経済見通しを公表した月。
(注2)FOMC参加者による予測の中央値。実質GDP成長率とコア物価上昇率は10-12月期の前年同期比。コア物価上昇率は個人消費支出(PCE)コア物価指数。失業率は各年10-12月期の平均値。FFレートは各年末時点における誘導レンジの中央値。
(出所)FRBの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

市場は金融緩和姿勢の維持を好感

■17日の米国市場では、株式市場は反発し、債券市場は下落しました。ダウ工業株30種平均は前日比189ドル高の33,015ドルとなり、史上最高値を更新しました。経済見通しは大幅に上方修正されましたが、一部市場で織り込まれていた早期利上げが打ち消されたことから安心感が広がりました。今後、景気回復の加速に伴い金利は上昇圧力がかかりますが、株式市場は業績回復を背景に堅調な推移を想定します。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FOMCの結果からみる、米株へのインプリケーション』を参照)。

 

(2021年3月18日)

 

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