「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。定年後の避けては通れない課題は「お金」「健康」「生きがい」。これが定年後の3大リスクです。この「3大リスク」をうまくクリアできれば、第二の人生をバラ色にすることがきます。本連載は長尾義弘・福岡武彦著『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

男性の2人に1人、女性の3人に1人はがんになる

「がん」のリスクは年齢とともに上がる

 

認知症以外の病気も気になります。

 

日本人の死亡原因は、1位が悪性新生物(がん)27.3%、2位が心疾患15.0%、3位が老衰8.8%、4位が脳血管疾患7.7%です(厚生労働省「人口動態統計」2019年)。

 

3位の老衰は除いて、悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患をあわせて三つの病気を三大疾病といいます。約半数の人が、この3つの病気が原因で死亡しています。入院が長くなったり、退院したあとも後遺症が残ったり、介護が必要になる可能性が高い病気でもあります。そして、年齢とともに発症率は高くなります。

 

とくに死亡率が高いのが約27%を占める悪性新生物(がん)で、男性の2人に1人、女性の3人に1人は罹患する病気です。

 

国立がん研究センター「最新がん統計」の年齢別の罹患率をみると、50歳男性が10年間で罹患する確率は5.4%で、50歳女性は6.6%です。ところが、70歳になると男性が31.7%、女性は15.4%と跳ね上がります。

 

では、どうやって備えればいいのでしょう。

 

じつは、治療費はそれほど心配ありません。健康保険があるので3割負担ですし、高額療養費制度も使えます。70歳以上の一般的な所得では、月額5万7600円以上はかかりません。また、75歳以上になると、自己負担額は1割に減ります。

 

早期発見はあらゆる負担を軽くするカギ

 

とはいっても、がんになって辛い闘病生活を送るのは嫌ですよね。ただ、がんはもはや国民病といえるほど罹患率が高く、避けてとおるのは難しいかもしれません。

 

だからこそ、早期発見を心がけることが肝心だと、私は考えます。早期に発見すれば、治療費もそれほどかかりませんし、治療にかかる時間も短くてすみます。

 

たとえば、胃がんの場合、ステージ1で発見すると5年生存率が94.5%以上ですが、ステージ4では9%に下がります。発見が遅くなればなるほど、身体の負担、精神の負担も大きくなります。ですので、定期的ながん検診はとても重要だと思います。

 

現在、がん検診でもっとも有効な診断方法は、PET検査だといわれています。費用はだいたい10〜15万円で、その他の人間ドックの検査をあわせると30万円くらい必要になります。

 

この検査費用をどう考えるかです。かなり大きな金額ですが、医療保険やがん保険に加入するよりも有効だと思います。余裕があればこの検査をお勧めしたいのですが、さすがに毎年となると負担がきついですね。自治体や健康保険組合のおこなっている検診でもいいと思いますが、定期的に受けることが大切です。

 

逆に、検査を怠って発見が遅れてしまったときのリスクを考えると、ある程度の煩わしさと出費は、我慢できるのではないでしょうか。検討してください。

次ページ定年前後は、保険の見直しで老後資金にまわす
定年の教科書 お金 健康 生きがい

定年の教科書 お金 健康 生きがい

長尾 義弘 福岡 武彦

河出書房新社

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