定期預金や国債は固い投資先として有名ですが、意外とメリットが多い「住民参加型債券」はあまり知られていません。パインブリッジ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長の杉浦和也氏と同社執行役員の前野達志氏が「地方債」のメリットについて解説します。

5年満期で金利1%の地方債もかつては存在

このように、投資には、投資家の金儲けだけでなく、社会の役に立つ事業への協力といった側面もあります。

 

北陸新幹線が石川県県内全線に解消されれば、沿線の住民には多大な利益があるでしょう。しかし、そのためのお金は誰が出すのでしょうか。JRでしょうか。投資に見合わないから中止するなどと言われそうです。国でしょうか。他府県民から税金の無駄遣いだとクレームをつけられそうです。では、石川県が出せばいいのでしょうか。あいにく、今の地方自治体にはそこまでの財政力がありません。

 

そこで地方債の発行です。北陸の企業と県民が力をあわせて資金を拠出すれば、20億円くらいすぐに集まるでしょう。なにしろ、このお金は募金ではありません。れっきとした債券ですから、金利もつきますし、5年後には投資金額がすべて戻ってくるのです。社会の役に立って小遣い稼ぎまでできるなんて、投資とはなんと素晴らしいものでしょう。

 

投資には、社会のお金の巡りをよくする、という意味があります。家の中のたんすに現金を貯めこんでいるだけでは、それこそお金の無駄で、必要な人にお金が届きません。ことわざに「金は天下の回りもの」とあるように、余っているお金があるのであれば、必要な人に融資してこそ生きるものです。

 

もちろん銀行に預金をすることで、銀行があなたの代わりに必要なところに融資してくれるといったことはあるでしょう。

 

しかし、銀行は本当に必要なところにお金を回しているのでしょうか。テレビドラマで有名になった銀行員の「半沢直樹」ではありませんが、誰もが応援したいと思うような中小企業には担保がないからと融資をせず、大企業にばかりお金を融通しているということはないでしょうか。あなたの大切なお金の融資先を、本当に銀行任せにしていいのでしょうか。

 

地方債は何も低金利のものばかりというわけではありません。同じく2013年4月に長野県軽井沢町が起債した「さわやか軽井沢債」は、「風越公園カーリングホール棟整備事業」のために1億円を発行したものですが、5年満期で金利は1%もついていました。銀行の定期預金ではとうてい太刀打ちできないほどの高金利です。

 

同じお金を預けるのであれば、使い道の分かっている事業に投資したいとは思いませんか。自分のお金がどのように働いているかを実感し、意味のある使い方をすること、それが「投資」への第一歩なのです。

 

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インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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