「ヘッジファンド」とは、様々な運用手法を駆使して下落相場でもプラスの収益を目指すファンドのことです。国内籍と外国籍がありますが、日本から直接、外国籍のものに投資することは困難です。では、国内の機関投資家はどのように海外ヘッジファンドに投資をしているのか、そのスキームを解説します。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「海外ヘッジファンド」への直接投資は難易度が高い

日本国内の投資家がオフショア籍など国外のヘッジファンドに直接投資することは可能である。しかし、この場合は当該ファンドが定める投資家基準に準拠していることがファンド側の受け入れ要件となるため、アドミニストレーターが当該国の法令・規制で定められる投資家としての適格性やマネーロンダリング防止のための本人確認などを行う。

 

後述する日本国内での登録が行われていない場合、日本国内での募集を行うことはできない。そこで、直接投資を行う投資家は、英語による関係書類を直接取り寄せて十分に精査し、デュー・デリジェンスを実施する必要があるため、大手金融機関など十分な経験と海外ネットワークを有する投資家に限られるのが実態である。

 

個人投資家がインターネットなどを通じて実行する事例があるようだが、潜在的なリスクが大きく、万が一のトラブルに対応することは事実上不可能と思われる。また、日本語による実質的な仲介サービスは、日本の法令に準拠したものかどうか、留意が必要である。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

国内籍投信スキーム…海外ヘッジファンド投資に不向き

国内籍投信のスキームは、オフショア・ファンドとは異なり、投資一任会社・投信委託会社(両社が兼ねている場合もある)と受託会社(信託銀行)の3者で構成される。目論見書をはじめとするドキュメンテーションが日本語で行われ、準拠法が日本国法となり、資金の保管も国内金融機関となるため、オフショア投資の経験が浅い投資家には好まれる傾向にある。

 

しかし、組成維持コストが割高となること、プライム・ブローカレッジ・サービスが国内には存在しないために運用戦略が限定されることなどのデメリットもあり、利用される事例は少ない。

 

※代替投資を行う運用機関などを対象に、受渡決済や保管業務から有価証券および資金の融資までの業務をパッケージ化して提供するサービス。

 

 

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オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

山内 英貴

東洋経済新報社

リーマンショック後も拡大し続ける最強の金融技術と投資戦略のなか、ヘッジファンドを中心としたオルタナティブ投資をめぐる環境は激変。 投資の基本から最新の知識、最先端の投資テクニックまでを解説した、役に立つ一冊!

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