「ヘッジファンド」とは、様々な運用手法を駆使して、相場の上げ下げに関係なく「絶対リターン」を追求するファンドのことです。おもに機関投資家が投資対象にしていますが、個人でもヘッジファンドに投資できる方法はあるのでしょうか? 見ていきましょう。※本連載は、GCIアセット・マネジメント代表取締役CEOの山内英貴氏の著書『オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて』(東洋経済新報社)より一部を抜粋・再編集したものです。

個人がヘッジファンドに直接投資するのは難易度が高い

個人がヘッジファンドに投資するには?(※写真はイメージです/PIXTA)
個人がヘッジファンドに投資するには?(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ヘッジファンド投資のスタートは、ヘッジファンドの特性を理解し、投資家自身のポートフォリオに組み込む絶対リターン型資産として認識することである。また、ポートフォリオ全体の中で、何を目的としてどの程度の組入れを行うのかという方針を決定する必要がある。

 

実験的に始めてみるという場合もあるだろうが、目的を明確化しない漠然とした形で投資を行うと、その後の評価が困難になる。少なくとも、期待リターン・リスクを明確化しておくことが求められる。

 

コンセンサスができ上がったら、次に(あるいは、コンセンサス作りと同時に)進める作業は、ヘッジファンド選定を自ら行い、ヘッジファンド・ポートフォリオを自ら構築するのか、あるいは、FOF(ファンド・オブ・ファンズ)※1またはゲートキーパー※2を利用して、そのプロセスをアウトソースするのかを決定することだ。

 

※1:投資信託が集めた資金を再び、タイプの異なる複数の投信に投資する仕組み

※2:ヘッジファンド投資を行う投資家のために、個別ファンドを評価し、ポートフォリオ組成を行う専門家。

 

ヘッジファンドへの直接投資には、多くの困難が存在する。ヘッジファンドの戦略は、難解で複雑なものも少なくなく、マーケット・ニュートラル型の安定志向運用であっても、実際には大きなリスクをはらんでいる場合がある。また、運用資産時価を正しく算出しているかを確認したり、限られた数のヘッジファンドで最適分散効果を得ることは容易でない。

 

ドキュメンテーションは英語であり、ファンド関係者の地理的所在もグローバルに分散している。優良ファンドの多くは、一見の投資家には門戸すらも開いてくれない。

 

要するに、現実問題として、世界中に6000以上あるといわれ、公には積極的営業活動をしていないヘッジファンドの中から優良な投資対象を探し出して、適切なポートフォリオを構築することは容易ではない。

 

そこで、FOFやゲートキーパーを利用するのが現実的な代替策となる。コストが二重にかかるという問題点があり、2008年に多くの投資家が経験した流動性やコミュニケーションなど課題も多いのは確かだが、それ以上の効用を認める投資家も少なくない。

 

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オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

オルタナティブ投資入門―ヘッジファンドのすべて

山内 英貴

東洋経済新報社

リーマンショック後も拡大し続ける最強の金融技術と投資戦略のなか、ヘッジファンドを中心としたオルタナティブ投資をめぐる環境は激変。 投資の基本から最新の知識、最先端の投資テクニックまでを解説した、役に立つ一冊!

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