「ファンド・オブ・ファンズ」の長所4つ
ファンド・オブ・ファンズの長所のひとつは、ポートフォリオを多様化することによる分散効果の獲得である。
分散効果とは、リスク調整後リターンの向上であり、運用効率の改善である。市場環境に左右されない絶対リターンを求めるヘッジファンドも、常に狙い通りの成果を享受し続けることは容易ではない。従来型の伝統的投資スタイル同様に、スタイル分散・投資対象分散は、ヘッジファンド投資においても有効である。
第2の長所は、単独では容易でないシングル・ファンドの選定、デュー・デリジェンス、ポートフォリオの構築、投資後のモニタリングという一連のヘッジファンド投資プロセスを、投資家が一定のコストを払って、専門家にアウトソースできることにある。
投資家のために、数多くのシングル・ヘッジファンドのユニバースからヘッジファンドによるポートフォリオを構築し、運用モニタリングを行う専門家をゲートキーパー※と総称する。日本では、ファンド・オブ・ファンズ・マネジャーをゲートキーパーと呼ぶこともある。
※ヘッジファンド投資を行う投資家のために、個別ファンドを評価し、ポートフォリオ組成を行う専門家。
第3の長所は、キャパシティの制約から“一見の投資家”による資金投資を制限している、クローズ済の優良マネジャーに対する投資枠を確保できることがある点である。有力ファンド・オブ・ファンズ・マネジャーは、その多年にわたる投資家としてのリレーションシップにより優良マネジャーからも一目置かれる場合が少なくない。
そのようなヘッジファンド業界の至宝ともいえる一部のマネジャーに、いきなりアプローチしても門戸は開放されないのだが、ファンド・オブ・ファンズというビークルを通すことによって、アロケートする道が拓かれる場合もある。ファンド・オブ・ファンズ・マネジャーが、どの程度クローズ済ファンドをポートフォリオに入れているかということも、ひとつの評価基準である。
第4の長所は、小口資金でも分散効果が得られることである。最低投資金額の大きなヘッジファンドで最適ポートフォリオを構築するには大きな資金が必要だが、ファンド・オブ・ファンズを利用すればその問題は解決できる。