大学卒と高校卒…学歴によって生まれる収入格差
学びの継続のために、さまざまな支援があります。学生のみなさんには、この困難な状況を乗り越え、大学を卒業してもらいたいものです。というのも、やはり学歴によって、手にする賃金に大きな差が生じているのが現状だからです。
厚生労働省『令和元年賃金構造基本統計調査』で「大学卒」と「高校卒」で賃金を比較(男性の場合)していくと、「20~24歳」だと大学・大学院卒は22万9200円(女性は22万4800円)に対して、高卒では20万3000円(女性は18万6400円)。その差、2万6200円です。その後、年齢とともに賃金は上がっていき、大学・大学院卒では「50~54歳」でピークを迎え、52万2900円(女性は39万9200円)。高校卒では「55~59歳」でピークを迎え、34万9100円(女性のピークは「50~54歳」で23万1300円)。ピーク時を比較すると、17万3800円にもなります。
■大学卒
20~24歳 22万9200円
25~29歳 26万6400円
30~34歳 32万1800円
35~39歳 37万6600円
40~44歳 42万9500円
45~49歳 47万5800円
55~59歳 52万2900円
60~64歳 38万5100円
■高校卒
20~24歳 20万3000円
25~29歳 23万3400円
30~34歳 25万8800円
35~39歳 28万4900円
40~44歳 30万9500円
45~49歳 33万3800円
50~54歳 34万8100円
55~59歳 34万9100円
60~64歳 25万9700円
これを生涯年収として考えると、どれほどの差になるでしょうか。単純に現役で大学を卒業し、65歳まで勤め上げた場合(賞与等別)を考えてみると、大学卒では2億429万円、高校卒では1億4751万円。その差は5678万円。仮に大学を1年で中退し、すぐに就職し収入を得ていたとしても、その差は4948万円にもなるのです。
また総務省『2019年全国家計構造調査』で、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出を世帯主の学歴別にみると、高校卒が26万6151円,大学卒業が31万5547円。世帯主が大学卒業の世帯が高校卒業の世帯の約1.2倍となっています。消費支出の内訳を見ると、「教育」への支出は、高校卒が9717円,大学卒が2万459円と、約2.1倍にとなっています。結局収入差は子どもの教育格差に直結し、さらには次世代の学歴格差、収入格差に連鎖していくのです。
あくまでも平均値での話なので、もちろん学歴に関わらず、高収入を得る人はいます。ただ確率的には非常に低いと言わざるを得ません。大学中退を考えているなら、負の連鎖を生まないためにも、支援などを受けて、何とか踏みとどまってほしいものです。