日経平均株価の上値が重い展開が続いている。コロナワクチン接種が進むアメリカでは小売りの売上高が急増するなど、経済が急回復しているという。一方、第3次緊急事態宣言の延長に追い込まれた日本は経済の低迷が続くが、ワクチン接種が始まり、今後、株価はどう動いていくのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

カラ売りを行う場合は下げ相場にうまく乗る

一方、売りはどうなるのでしょうか?

 

持っている株が値下がりすれば損してしまうので、常に損するリスクを抱えているため、買おうとする投資家に比べて自然と行動が早くなりがちです。のんきに構えていたら、乗り遅れて損がかさんでしまうのですから。

 

ここでゲーム理論が登場します。少しでも株価に変調を感じられるようになった場合、その銘柄を持っている投資家は自分が損をしないために売りを考えるだけではなく、ほかの投資家も売り急ぐと予想し、結果、早め早めに売ろうとする投資家が増えてきます。そうなると、株価の下げが速くなるのは想像に難くありません。

 

すると、「売る人が増えそうだ。こんなところで買ったら損をしてしまう」と思って、その銘柄の内容が優れているとしても買わなくなります。中長期的な視点で買おうと思っている投資家も「もっと安く買えるかもしれない。どうせ買うなら安い水準で買おう」と買うのをいったん手控えます。株価は言うまでもなく、売りと買いの需給で決まるので、結果、下げのスピードがアップすることになります。

 

そうした心理状態を逆手に取って、下げ相場に乗ろうとするのがカラ売りの投資法です。買いのときと同じで、実際にカラ売りを仕掛けるまでは損するリスクが発生しないのですから、心理的にも余裕を持って臨むことができます。

 

損に怯(おび)えるという投資家心理につけ込む、ちょっぴりズルい方法と感じるかもしれませんが、もともと株式市場は「命の次に大切なお金」で勝負する厳しい世界。目の前にあるチャンスは活かさなければならないのです。

 

もちろん、いつでも売りが優位に立っているわけではありません。以上記したことは一般論であり、好材料が出たあとは、手がつけられないような上昇相場となることもあります。

 

ただし、人気が過熱して株価が伸び切ったようなときは、下げが速くなるのは確かです。それは「人気を集める=買った人が多い」ということで、「損をする」リスクを抱え、早く逃げたいと思っている投資家がたくさんいるためです。

 

では、どんな状況のときに下げが加速するのでしょう。以下に例を挙げ、チャートで示したのでご覧になってください(図表1~図表3参照)。

 

→日足チャート、移動平均線は5、25日線 (出所)SBI証券より作成
[図表1]エーザイ(4523) →日足チャート、移動平均線は5、25日線
(出所)SBI証券より作成

 

 

→日足チャート、移動平均線は5,25日線 (出所)SBI証券より作成
[図表2]JXTGホールディングス(5020) →日足チャート、移動平均線は5,25日線
(出所)SBI証券より作成

 

 

→日足チャート、移動平均線は5,25日線 (出所)SBI証券より作成
[図表3]三菱重工業(7011) →日足チャート、移動平均線は5,25日線
(出所)SBI証券より作成

 

 

雨宮京子
雨宮総研代表 

 

 

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本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、フォレスト出版、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

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