カラ売りを行う場合は下げ相場にうまく乗る
一方、売りはどうなるのでしょうか?
持っている株が値下がりすれば損してしまうので、常に損するリスクを抱えているため、買おうとする投資家に比べて自然と行動が早くなりがちです。のんきに構えていたら、乗り遅れて損がかさんでしまうのですから。
ここでゲーム理論が登場します。少しでも株価に変調を感じられるようになった場合、その銘柄を持っている投資家は自分が損をしないために売りを考えるだけではなく、ほかの投資家も売り急ぐと予想し、結果、早め早めに売ろうとする投資家が増えてきます。そうなると、株価の下げが速くなるのは想像に難くありません。
すると、「売る人が増えそうだ。こんなところで買ったら損をしてしまう」と思って、その銘柄の内容が優れているとしても買わなくなります。中長期的な視点で買おうと思っている投資家も「もっと安く買えるかもしれない。どうせ買うなら安い水準で買おう」と買うのをいったん手控えます。株価は言うまでもなく、売りと買いの需給で決まるので、結果、下げのスピードがアップすることになります。
そうした心理状態を逆手に取って、下げ相場に乗ろうとするのがカラ売りの投資法です。買いのときと同じで、実際にカラ売りを仕掛けるまでは損するリスクが発生しないのですから、心理的にも余裕を持って臨むことができます。
損に怯(おび)えるという投資家心理につけ込む、ちょっぴりズルい方法と感じるかもしれませんが、もともと株式市場は「命の次に大切なお金」で勝負する厳しい世界。目の前にあるチャンスは活かさなければならないのです。
もちろん、いつでも売りが優位に立っているわけではありません。以上記したことは一般論であり、好材料が出たあとは、手がつけられないような上昇相場となることもあります。
ただし、人気が過熱して株価が伸び切ったようなときは、下げが速くなるのは確かです。それは「人気を集める=買った人が多い」ということで、「損をする」リスクを抱え、早く逃げたいと思っている投資家がたくさんいるためです。
では、どんな状況のときに下げが加速するのでしょう。以下に例を挙げ、チャートで示したのでご覧になってください(図表1~図表3参照)。
雨宮京子
雨宮総研代表
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】