コスト競争の激化により、中小製造業の経営環境は悪化しています。本連載では、技術や従業員を守る有効な解決策としてM&Aに着目し、かつ、圧倒的高値で売却する方法を紹介します。

買収後の経営状況の見通しが立つ会社なら・・・

M&Aで譲渡するためには、買い手に自社の魅力を感じてもらう必要があります。自分が買う立場だったらどんな会社が欲しいと思うか、想像してもらえばわかりますが、どんな業界でも共通でわかりやすいポイントが2つあります。

 

一つは財務面が安定していることです。例えば、以下のようなことが当てはまっている会社であれば、買収後の経営にも見通しが立ちやすいため有利です。

 

●業績が黒字

●業績に波がなく利益が安定している

●借入金が少なく、すぐに弁済できる範囲

 

これらは業績不振に陥る前の良いタイミングであることの証明にもなります。

買い手の投資リスクがヘッジできる要素とは?

もう一つは、投資リスクが低いことです。M&Aは買い手側にとって巨額の投資です。投資にはリスクがつきものですが、誰でもなるべくならリスクが低いものを選びたいはずです。

 

例えば以下のようなことが買い手にとってのリスクヘッジとなります。

 

●取引先が一社ではなく分散している

●利益に対して株価が高額でない

●業界や事業に将来性がある

 

取引先が一社だけというのはリスク要因です。大手企業でも突如として赤字転落や倒産が珍しくない時代ですから、いつ取引先と共倒れになるかわかりません。あらゆる状況にも対応できるような幅広い顧客基盤があれば人気は高くなります。

 

また、投資の基本は少ない元手で大きな利益を得ることです。そのため低い株価で高い収益力のある企業が好まれます。不動産を多く所有していることで株価が高額になっている場合などは、それに対しての利益が伴っていなければ、投資効果が上がりにくいためリスクが高いと判断されます。

 

また、業界や事業に勢いがあって今後の成長が高い確率で見込めるというのも投資の観点からは重要です。反対に業界や事業が先細りしていると将来が見えないことから敬遠されてしまいます。

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    本連載は、2016年4月27日刊行の書籍『中小製造業の社長が知っておきたい会社の売り方』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    中小製造業の社長が知っておきたい会社の売り方

    中小製造業の社長が知っておきたい会社の売り方

    浅岡 和彦

    幻冬舎メディアコンサルティング

    自分が高齢になってもその技術や従業員を守っていきたい、自社の技術を信頼してくれる取引先に迷惑をかけたくない──これは中小製造業の社長に共通する願いでしょう。 しかし、社長の思いに反し、多くの会社がいま存続の危機…

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