突発的な問題でシナリオが大きく狂うことがある
保有中の銘柄に悪い材料が出たときには、それが一度切りのもので、影響も一過性なのか、それとも問題の根が深く、影響が長引きそうなのかの判断が重要です。そして後者であれば、一旦は売却することを強くお勧めします。
ここで例に取り上げるのは、三井住友建設(1821)です。三井住友建設は株価100円台で100株単位と、1万円台で買えるいわゆる低位株です。2003年に三井建設と住友建設が合併して誕生しました。
低位株ではありますが、首都圏を中心に都市再開発の動きが継続していて、同社では東京五輪などの国家プロジェクトから、ららぽーとなどの商業施設建設まで幅広い受注が期待できること。
また、予想PERが20倍程度で、かつ業績の上方修正期待もあったことから、指標的にもさらに割安感が増す可能性があること。
さらに、2015年3月期には17年ぶりに配当を復活(復配)したことで、今後は本格上昇が見込めると判断。8月下旬からの株安懸念が落ち着いた10月5日に買い推奨をしました。買い推奨株価は148円。
ところが、買い推奨からわずか10日後に、いわゆる「マンションの杭打ち偽装問題」が発覚して、予想していたシナリオは大きく狂うことになってしまいました。
<売り推奨をした日>
2015年10月14日
<売り推奨株価>
134円(10月14日の高値は146円、安値は109円)
<売り推奨をした理由>
拡大懸念のある悪材料10月14日の日本経済新聞朝刊で、三井住友建設が施工を担当した横浜の大型マンションで必要な地盤調査を一部実施せず、虚偽のデータによって工事が行われたと報じられた。
☆藤村コメント・・・突発的なニュースで、この件が三井住友建設の業績に与える影響の度合いは報道の時点では予測不能、今後どう進展していくのかも不透明でした。ただ、報道されたマンションは施工不良で傾いていると指摘されていて、同社のほかの物件でも同様の問題が出てくる可能性もあり、一旦売却して仕切り直すのがよいと判断しました。
<その後の展開>
売り推奨をした翌日の10月15日になると、問題の焦点は杭打ちの工事を請け負った旭化成建材、及び親会社の旭化成にあるという見方が広がりました。
今度は、旭化成の株が急落。三井住友建設はさらなる下落にはならず、10月14日につけた安値109円が年初来安値近辺の株価となりました。とは言え、同社ももちろん無関係ではないため、その後も株価は110円台〜120円台前半と低空で推移しています。
大きな悪材料が出た場合は「他の可能性」に賭ける
<まとめ>
このように、大きな悪材料が突発的に出ることは、株式投資をする以上は完全には避けられません。問題が起きたときには、その影響力を考えて売却し、他の可能性に賭けたほうがよいでしょう。
なお、2015年12月時点では、杭打ち偽装の問題が同社の業績に及ぼす影響はまだ明らかになっていません。
100円台という低位株のため、30万円コースでは1900株(投資総額28万1200円)を保有中でした。確定した損失は2万6600円ですが、すでにほかの銘柄で大きな利益を取っていたため、幸い、損切りしても大きな痛手にはなりませんでした。
[図表]三井住友建設
<売買のまとめ>
●買い推奨日・株価 2015年10月5日148円
●売り推奨日・株価 2015年10月14日134円
●損益率 ▲9.46%
●損失(1900株) ▲2万6600円(▲1400円/100株)