機能的で広いテントに高級な家具が入り、一流の食事やサービスを受けられる「ハイエンド」なサファリ。野生動物を数多く見られるスリランカでも、この高級志向に加えて、環境にも優しい「エシカル」なサファリが誕生しています。最終回は、今後のスリランカのサファリ・ビジネスが進むべき道について考えます。

失敗の原因は「ヒョウ」への過度な集中!?

ハイエンド(高級志向)・ローインパクト(低環境負荷)なサファリ・サービスをスリランカで提供するレオパード社。スリランカの観光当局も、自然保護とハイエンドな観光客を呼び込むことのを重要性を認識していると同社のセラマトュ氏は認める。しかし、この認識はニッチな顧客にターゲットを絞るレオパード・トレイル社のようなベンチャー事業をサポートする政策には的確に反映されていないと言う。

 

「唯一の誤りはヒョウに集中しすぎたことです。」と同社のデ・ソイサ氏はスリランカの野生動物ツーリズムについて語る。彼の考えでは、レオパード(ヒョウ)・サファリとエレファント・ギャザリング(群集)とバード・ウォッチングは、それぞれ素晴らしい商品であるが、そのポテンシャルが十分に活かされていない。

 

加えて同氏は、「スリランカのサファリの醍醐味は、全く異なる生態系間を素早く移動できることにあります。」と言う。ある日の夜、シンハラジャ森林保護区で鳥や蝶やヘビを観察した旅行者は、次の日の朝、ヤーラ国立公園でヒョウを観察することができるのは、スリランカならではの魅力なのである。

「ホテル中心」から「動物中心」へと発想を転換

デ・ソイサ氏は、高品質のサファリ商品という観点では、スリランカの観光業界はまだスリランカが持っているポテンシャルを把握しきれていないと考えている。これまで何十年と、サファリ産業は巨大ホテルに独占されてきており、彼らは単に部屋を埋めることにしか関心がなかった。そしてホテルにとってサファリとは、単なる地図上の一つの点に過ぎなかった。

 

その点の中にいるレオパード・トレイル社ら少数のサファリ会社のみが、野生動物を中心に据えた商品の可能性を思い描いている。彼らはプライベートであり教育的でもあるカスタマイズされた体験を、ハイエンドな顧客をターゲットに提供し、環境的にも持続可能なビジネスを意識している。

 

「我々のやり方こそ、スリランカが持続可能なビジネスを発展させる正しい方法であると信じています。」とデ・ソイサ氏は言う。「そしてこのやり方は面白く、可能性があり、情熱を持って行えるビジネスでもあります。」とセラマトュ氏は付け加える。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年4月に掲載した記事「BIG MONEY FOR BIG GAME – BUT NO DAMAGE」を、翻訳・編集したものです。

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