機能的で広いテントに高級な家具が入り、一流の食事やサービスを受けられる「ハイエンド」なサファリ。野生動物を数多く見られるスリランカでも、この高級志向に加えて、環境にも優しい「エシカル」なサファリが誕生しています。今回は、地域住民の反発をどう乗り越え、地元に受け入れられていった過程をお伝えします。

地域住民とWin-Winの関係を構築

スリランカでハイエンド(高級志向)・ローインパクト(低環境負荷)のサファリ・サービスを提供するレオパード・トレイル社は、アフリカなどのサファリ先進国の取り組みをスリランカに取り込むと同時に、スリランカ特有の業界の問題をイノベーションのきっかけと捉えた。

 

「地域社会を巻き込むことがとても重要であると考えていました。」とレオパード・トレイル社のセラマトュ氏は言う。そのためグローサリー・機械設備・配管・電気技師・大工等の常勤の従業員はできるだけ地元から採用した。「ただ、地元のジープ・サプライヤーとのトラブルが多くありました。地元の人は国立公園の権利が自分たちにあると考えているため、部外者が入って商売をすることを好まなかったのです。」

 

地元のジープ・サプライヤーとレオパード・トレイル社の双方ともが問題を抱えていた。ジープ・サプライヤーは、レオパード・トレイル社の想定するハイエンドな顧客のニーズに合うジープが用意できず、レオパード・トレイル社は自前でジープを用意するためには、ジープ代に加えてドライバー代とメンテナンス代で更に5,000万スリランカ・ルピーの投資が必要になってしまうのだ。

 

そこでレオパード・トレイル社はサプライヤーのジープに、ルーフハッチとカメラの設置場所・緊急時の曳航用電動ウインチ・ぬかるみ用のタイヤを取り付け、サスペンション等の快適さと安全性向上の改良を加えてもらい、その上で地元サプライヤーのサービスを利用したのである。改修にかかったコスト(約100万スリランカ・ルピー)はジープの使用料から差し引かれる。こうして、レオパード・トレイル社は経費を節約することができ、地元コミュニティは改良されたジープとハイエンドな顧客を得ることができるという、ウィンーウィンの関係が築けたのである。

 

「結果、すぐに我々は地元コミュニティに溶け込んだ友好的なサファリ運営会社とみなされるようになりました。」とセラマトュ氏は言う。

競合他社の盲点を突く

オリジナルのテントや地域社会との協力は良好なものの、ただちに新参のレオパード・トレイル社が他社との競争で優位に立ったということではない。他のサファリ運営会社は、強力なオペレーションと物流を持ち、長年の業界での経験でサービスの改良を行っている。

 

「しかし、他社はアフリカのサファリがもっている重要な要素を見落としていました。」とセラマトュ氏は指摘する。「それは、本当の意味で最高なサファリ・ガイドです。ガイドはいましたが、彼らは単なるジープ・ドライバーの延長でしかありませんでした。」

 

次回はレオパード・トレイル社が取り入れたサファリ・ガイドの育成方法についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年4月に掲載した記事「BIG MONEY FOR BIG GAME – BUT NO DAMAGE」を、翻訳・編集したものです。

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