(※写真はイメージです/PIXTA)

日本の大学の資産運用の規模は米国より小さく、資金力の乏しさから研究基盤のぜい弱化が指摘されています。そこで日本政府は、2021年度中に10兆円規模の大学ファンド(基金)を立ち上げて運用を始め、研究資金を拡充する計画です。今回は、日米の大学の資産運用の最新事情について、くにうみAI証券株式会社(元IS証券株式会社)のオルタナティブ・インベストメントプロダクト部の髙橋文行氏が解説します。

日本の大学ファンド、2021年中に運用開始へ

日本政府は、10兆円規模の大学ファンド(基金)を創設する計画だ。海外の大学と比べて日本の大学の資金力が乏しく、研究基盤がぜい弱化していることを問題視しており、大学ファンドの運用益を活用し、将来の研究基盤への長期・安定投資を実行する。日本の大学も、世界の一流大学に資産運用の手法を学び、追随する流れになっている。

 

文部科学省が2021年3月に公表した資料によると、国立研究開発法人である科学技術振興機構(JST)に大学ファンドを設置。50年の時限で、将来的に大学がそれぞれ自らの資金で基金運用するための仕組みを導入する見込み。

 

当初は、政府出資0.5兆円(2020年度第3次補正予算)と財政投融資4兆円(2021年度財投計画額)を合わせた4.5兆円からスタートし、大学改革の制度設計などを踏まえつつ、早期に10兆円規模の運用元本を形成する予定。2021年度中の運用開始を目指している。

 

内閣府と文科省は、「世界と伍する研究大学専門調査会」や「大学ファンド資金運用ワーキンググループ」などを開き、関連法案の審議に向け、新たな法的枠組みを検討している。

 

大学基金の規模(2017、2019年)に関しては、海外ではハーバード大学が約4.5兆円、イェール大学が約3.3兆円、スタンフォード大学が約3.1兆円、ケンブリッジ大学が約1.0兆円に上る。一方で、日本国内では慶応義塾大学が約730億円、早稲田大学が約300億円、東京大学が約150億円にとどまった。

 

運用残高312億米ドル、収益率6.8%
【図表1】イェール大学の基金運用戦略(2020年6月期)※運用残高は312億米ドル、収益率は6.8%

 

なお、米国のハーバード大学やイェール大学の運用戦略では、近年、高いリターン(投資収益)を求めて、【図表1】のように、ヘッジファンドなどオルタナティブ投資の比重が高まっているようだ。

 

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