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一般的なマンションでは「南向き」がもっとも人気があり価格評価も高くなると説明しましたが、タワマンではそうとも限りません。ほぼすべての住空間に開口部が設けられているタワマンの場合、室内には季節を問わず強烈な直射日光が差し込みます。
とくに夏場は日差しによって室内温度が上がり、エアコンをフル稼働しても暑さが収まらない状態になります。このような事態を避けるため、売買・賃貸ともに北向き住戸が好まれる傾向も見られます。
さらに、立地するエリアによっても人気の高い方位はさまざまです。東京都内の恵比寿や目黒に建つタワマンの場合、東京タワーなど都心の眺望が拓ける北向き住戸に人気が集まります。また豊洲や東雲では、レインボーブリッジを望む西向き住戸が人気です。「眺望代」という言葉が生まれるほど、タワマンでは階層の高低だけでなく方位によっても価格が違ってきます。
タワマンを選ぶ際に重視されるのは快適さや使い勝手ではなく「眺望」、すなわち「非現実性」なのです。
タワマンは「刹那」的な暮らしに向いている?
タワマンは非現実を楽しむための住空間です。
生活感に乏しいタワマンは「永住」より「刹那」的な暮らしに向いています。刹那とはすなわち賃貸であり、「買えないけれど、一度は住んでみたい」とタワマンライフにあこがれる人たちへ貸し出すことでそのポテンシャルを発揮することでしょう。例えば2億円のタワマンを購入して家賃100万円で賃貸すれば、利回り6%で運用することも可能です。
ちなみに富裕層のあいだでは、相続税対策の一環としてのタワマン購入も長らく主流になっていました。
例えば、ある資産家が3億円の現金を持ったまま死亡(相続開始)した場合、現金3億円全額に対して相続税がかかってしまいます。一方、生前に資産を不動産に組み替えていれば、相続税の課税対象額は不動産の法定評価額に取って代わります。
土地の法定評価額は市場価格の8割程度になることが多いですし、その土地上に建つ建物の評価額も(実際の購入価格とは関係なく)築年数が経つにつれてどんどん下がっていくので、現金で持っているよりも支払う相続税は安くなる…という仕組みです。
しかし平成29年度税制改正の結果、タワマン節税が否認される事態が発生しました。「富裕層の税金対策」としての側面は見直されつつあります。
日本のタワマン第1号は1976年…老朽化でどうなる?
タワマンはその階高や規模ゆえに、一般的なマンションと比較して高額な維持費がかかります。これが老朽化して建て替えとなったら、一体どのくらいの工期と費用がかかるのでしょう。
日本のタワマン第1号は1976年(昭和51年)に誕生したといわれますから、その歴史はまだ40年余りです。
コンクリート造の建物の寿命を60年程度と考えれば、その築年代まで達している物件は存在せず、建て替えの事例もまだありません。そういった未知のリスクも踏まえた上で購入すべきかどうかを検討する必要もあります。