「どの部位が傷害されるか」によって、症状が異なる
◎脳の各部位と機能
脳は、どの部位が傷害されるかによって出現する神経症状が異なります。医師は問診、症状、神経学的診察によって梗塞の部位を推測し、画像検査などで確定診断をします。それぞれの機能についてまとめると次のようになります。
頭頂葉:感覚(触覚、痛覚、温度覚、振動覚、位置覚)
側頭葉:言語、聴覚、視野、精神
後頭葉:視覚、視野
下垂体・視床下部:内分泌(ホルモン)
小脳:平衡感覚、運動円滑
脳幹:生命中枢、運動・感覚神経路
大脳辺縁系、間脳、視床、他:大脳皮質と脳幹の移行部で、脳梁、帯状回、間脳(視床、視床下部)、乳頭体、海馬などを含む。
脳を栄養する動脈は、左右の総頸動脈(common carotidartery:CCA)と左右の椎骨動脈(vertebral artery:VA)の合計4本です。
「脳梗塞」とはどのような病気なのか?
左右の総頸動脈は頸部でそれぞれ内頸動脈(internal carotidartery:ICA)と外頸動脈(external carotid artery:ECA)に分かれます。椎骨動脈は頭蓋内で左右が合流し1本の脳底動脈(basilarartery:BA)となります。
内頸動脈系は前方循環(anterior circulation)と後方循環(posterior circulation)に分かれます。前方循環は、内頸動脈が中大脳動脈(middle cerebral artery:MCA)と前大脳動脈(anterior cerebral artery:ACA)に分かれ、大脳、間脳など広い範囲を栄養します。
後方循環は後大脳動脈(posterior cerebral artery:PCA)が主として後頭葉を栄養します。椎骨・脳底動脈は脳幹、小脳、間脳、後頭葉を栄養します。
脳梗塞では、どの血管に閉塞が生じたかによって、梗塞の部位や範囲が決まってきます。一側の内頸動脈や中大脳動脈の閉塞では対側の片麻痺、優位半球では運動・感覚失語、前大脳動脈では対側の下肢の片麻痺、後大脳動脈では対側の同名半盲、小脳ではめまいや平衡障害と対側あるいは同側の運動失調、脳幹では意識障害などです。
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の可能性を強く疑うべき症状は下記です。症状を見逃さずに素早く救急車などで受診しましょう。
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>