高齢者(65歳以上)の6人に1人が認知症を発症しています。自分・家族の「もしもの時」に備え、認知症の知識を身に付けておきましょう。今回は、石塚武美氏が、実母への介護経験を基に、症状改善に効果的な工夫や、老々介護に必要な心構えを紹介します。

 

母親が90歳のころ、食事をしながら話をしているとき、「ところで、私の前にいるあなたはどなたなの?」と言われて大きなショックを受けましたが、さまざまな工夫を行った結果、認知症が改善でき、103歳を元気に迎えることができました。

介護にあたっての注意と経験

注意しなければいけない点が二つほどあります。

 

①人は誰でも性格が違い、生活環境も違います。この本に書いたことは、私が母親に対して行った工夫で、効果があったと考えられることです。同じような工夫が誰にでも効果があるかどうかは分かりません。

 

②介護の一番難しい点は「介護はいつまで続くか分からない」ことだと思います。特に私のような老々介護の場合です。母親は年を取るにつれて体全体が衰えていくので私が介護をする量が増えます。一方、私も同じように年を取り心身とも弱くなっていきます。

 

介護する側の私は母親の幸せを願い、今まで通り、あるいは今まで以上の介護をしようとの気持ちで頑張ります。無理を続けます。この状況が長く続けばいずれ私はまいってしまいます。実際に何回かまいってしまいました。でも、自分自身にいろいろな工夫をして切り抜けました。

 

一番重要なことは「疲れてきたら、『勇気をもって』介護の手抜きをして、自分を常に心身とも余力を残した状態にしておく」ことだと思います。無理を続け、病気にでもなって介護ができなくなった時、介護されている人はどうなってしまうのでしょう? 介護は続けることが最重要です。

 

上記のように書いてみましたが、これは介護が終わって冷静な気持ちでの言葉であり、実には介護に手を抜くことは非常に難しいです。なかなか『勇気をもって』の決断はできないです。

 

私の場合、母親の介護を少しでも手を抜くと母親が早く死んでしまうのではないか、との
申し訳ない気持ちから手は抜けなく、何回か病気になりお医者さんにかかりました。ただ、非常に運がよく入院することはなく毎日介護を続けられました。本当に運がよかったです。

 

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認知症の母を支えて 103歳を元気に迎えるまでの工夫

認知症の母を支えて 103歳を元気に迎えるまでの工夫

石塚 武美

幻冬舎メディアコンサルティング

「ところで私の前にいるあなたはどなたなの?」 夕食時に母親から言われた一言をきっかけに、認知症改善への挑戦が始まった――。 おしゃべり、歌、マッサージ……。母親と過ごす毎日は光輝いていた。 日常生活における心掛…

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