高齢者(65歳以上)の6人に1人が認知症を発症しています。自分・家族の「もしもの時」に備え、認知症の知識を身に付けておきましょう。今回は、石塚武美氏が、実母への介護経験を基に、症状改善に効果的な工夫や、老々介護に必要な心構えを紹介します。

一緒に歌うことで「記憶力」が改善された

毎日、母親の好きな歌を10曲ほど一緒に歌いました。特に食事の前に数曲歌うと元気が出て食欲が出ました。ふじの山の歌は、いつも大きな声で歌いました。声を出すとともに手の動きが入り、いい運動にもなりました。ニコニコしながらとても調子がよく喜んで歌いました。壁にはいつも大きな富士山の絵を貼っていました。

 

たなばたさまの歌では、好きな歌詞のところで必ず両手をあげて、左右に振っていました。5月の端午の節句では、こいのぼりの歌を歌い、私が「お母さん、歌にお母さんが出てこなくて変だよね?」と聞くと、「お母さんはいつも忙しいの。きっと買い物に行っているのよ」と真面目に答えていました。また、「柏餅が食べたい。買ってきて」。買ってくると、食べながら「かしわっぱはいい香りがする。でも、柏餅でかしわっぱがないと大福ね」と面白いことを言っていました。

 

たなばたさまの歌を歌ったとき、私が「おりひめさまとひこぼしさんは1年に1回七夕の時だけ川を渡って会えるんだよ」と言うと「もっと会えばいいじゃない」との返事。歌を歌うことで、楽しいおしゃべりもすることができました。

 

声を出して歌を歌う母親は嬉しそうで、特に童謡はとても幸せな顔つきで、認知症の改善になったと思います。また、歌詞を思い出しながら歌うことは記憶の回復と記憶力の改善にも繋がりました。

 

以上の、楽しいおしゃべり、マッサージと歌、が認知症改善の主要な3本柱になったと
思います。

 

 

石塚 武美

 

※当記事は石塚 武美氏の著作より一部を抜粋し、再編集したものです。

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幻冬舎メディアコンサルティング

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