金融政策報告書でパウエル議会証言を占う

今週の注目イベントのひとつがFRBのパウエル議長の議会報告です。米国の長期金利上昇と、それによる市場への影響に関心が集まっているからです。金利上昇の背景である財政政策拡大はパウエル議長が必要性を論じてきましたが、金融政策報告書を見る限り、金融政策による支援と共に財政政策への期待を示唆するなど従来の主張の繰り返しとなる印象です。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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金融政策報告書:議会に提出する金融政策報告書で金融緩和の継続を示唆

米連邦準備制度理事会(FRB)は2021年2月19日、半期に一度議会に提出する金融政策報告書を公表しました。米金融当局は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の景気への影響を克服するため強力な支援を継続することが示唆されています。

 

なお、パウエルFRB議長は23日(現地時間)に上院銀行委員会、翌24日に下院金融委員会でそれぞれ証言する予定で、金融政策報告書はそれに先立ち公表されました。

どこに注目すべきか:金融政策報告書、議会証言、高頻度データ

今週の注目イベントのひとつがFRBのパウエル議長の議会報告です。米国の長期金利上昇と、それによる市場への影響に関心が集まっているからです。金利上昇の背景である財政政策拡大はパウエル議長が必要性を論じてきましたが、金融政策報告書を見る限り、金融政策による支援と共に財政政策への期待を示唆するなど従来の主張の繰り返しとなる印象です。

 

金融政策報告書ならびに、足元の金融当局メンバーの発言から雇用市場の回復は鈍く、インフレ率も目標を下回る中、金融、財政政策の支援が必要という姿勢に変化は見られません。

 

金融政策報告書ではパンデミック前に比べ就業者数が1000万人弱減少していることなどから依然支援が必要と述べています。もっとも、1月の失業率は6.3%と、20年4月の14.8%から低下(改善)している一方で、人種や、性別(図表参照)、または産業の違いで改善度合いに大きなバラツキがあり、安心には程遠いことが示唆されています。

 

期間:2020年2月~2021年1月の各分類別労働参加率の差 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表]新型コロナパンデミック前後の米労働参加率の変化 期間:2020年2月~2021年1月の各分類別労働参加率の差
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

金融政策報告書においてインフレ率についての言及は雇用市場に比べ淡々とした内容です。期待インフレ率は上昇するも、消費者物価指数などで計測されるインフレ率は落ち着いていることなどが述べられています。また金融当局の最近の発言(例えばリッチモンド連銀総裁)でも、インフレ率が今後上昇する可能性を認めつつも、短期的に終わるとの見込みが述べられています。

 

なお、今回の金融政策報告書で取り上げた3つのテーマは先の雇用市場、平均インフレ率を導入した金融政策、並びに人の移動などを把握するリアルタイムの高頻度データについてです。新型コロナのような大きなイベントがあった局面における高頻度データの有用性が述べられています。月次や四半期データに比べ速報性の点で優れていることや、大きな変化があった場合の前年比データの解釈を高頻度データが補完する働きがあるとしています。

 

また、高頻度データの効果を示す例として、コロナウイルス支援・救済・経済保障法(CARES法)による所得支援が家計の消費行動をいかに下支えしたかを例示することで、さりげなく財政支援の必要性が暗示していたようにも見られます。

 

しかしながら、追加経済政策の進展に伴い米国長期金利が上昇している面も見られます。金融政策報告書でも長期金利の上昇に言及しています。足元の米10年国債利回りは昨年3月の水準程度にまで回復しています。金融政策報告書ではワクチン接種の進展と、景気回復を反映しているとしています。

 

また、水準的には概ね昨年3月のレベルまで利回りが上昇しているものの、米国債利回りと社債や住宅ローン担保証券(MBS)との利回り格差が安定していることなどから、市場機能は保たれていると金融政策報告書は述べています。もっとも企業の借入は歴史的高水準となっており、中小企業や一部大企業の破綻リスクは引き続き相当大きいと(本当は)強い警戒感も示しています。

 

市場動向を睨みつつ、議会証言では金融緩和と財政政策への期待を表明する姿勢を維持するものと見られます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金融政策報告書でパウエル議会証言を占う』を参照)。

 

(2021年2月22日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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