2021年の不動産投資市場は「低金利」が下支え
2020年のGDPは通年で5.7%の縮小を予想するが、2021年は+2.6%の回復を見込む(FIGURE3、いずれも2020年末時点の予想)。ただし、賃貸不動産市況の下げ止まりは2021年末ごろまで待つことになろう。
というのも、今回のパンデミックは、経済の停滞のみならず、企業の不動産戦略にも変化を及ぼしつつあるからだ。特にオフィスについては、感染予防のために推奨された在宅勤務が、ITツールの普及にも支えられて一気に拡大した。その結果、多くの企業は、業績悪化のみならず社員の働き方の変化をも踏まえた不動産戦略の見直しを迫られている。
4月の新年度入りまでにそれらの戦略がまとまるとすれば、2021年半ばごろから、テナントの移転が縮小と拡張いずれについても、活発になるだろう。ハイストリート・リテールについては、ここ数年の需要の牽引役として国内富裕層のみならず訪日外国人の存在も大きかったことに鑑みると、国内消費の回復だけでは力不足の感が否めない。市況の持ち直しはインバウンド需要の本格的な回復を待つことになろう。
一方、不動産投資市場では、投資総額自体に対するパンデミックの影響は小さそうだ。2020年通年の総投資額は前年2019年とほぼ同程度での着地になると推定する。そして2021年も、2020年の推定投資額からほぼ横ばいと予想している(FIGURE4)。
日本銀行は緩和的な金融政策を継続しており、10年国債利回りは低位横ばいで安定している。今後も金融政策が変更されることは考えにくく、当面は低金利の環境が続くと考えられる(FIGURE5)。
このことは、2つの面で不動産投資市場を下支えする。
一つは資本コストが引き続き低く抑えられること、もう一つは、少しでも利回りの高い不動産投資が今後も投資家の関心を集めるということだ。直近の投資家調査においても、日本の不動産市場に対する関心は引き続き高いことが確認された。投資対象としては、住宅や物流施設など、安定した収益が期待できるアセットタイプが引き続き選好されると考えられる。
しかしポストコロナを見据えた長期投資の観点からは、オフィスやホテルに対する関心も再び高まると考えられる。
関連記事:ジャパンメジャーレポート - 不動産マーケットアウトルック2021 2021年1月
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