日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、遺された兄姉と義妹との間で起きたトラブルについて、相続を専門とする円満相続税理士法人の桑田悠子税理士が解説します。

次男、新婚生活を都心のタワーマンションで…

Cさんが30歳を過ぎて結婚が決まったときも、まっさきに報告に出向いたのは兄と姉の元です。もちろんAさんもB子さんも祝福し、華やかな結婚式が執り行われました。都心のタワーマンション(9,000万円)を購入し、新婚生活を楽しんでいたといいます。

 

Aさん「Cはあまり贅沢しないほうなのに、タワーマンションをキャッシュで一括なんて思いきったな! まぁ、せっかくお金があるんだ。好きに使ったらいいけど」

 

Cさん「……うん、そうだね」

 

何となく歯切れのわるい返答だなとAさんは思いましたが、深く突っ込むことはしませんでした。弟には弟の考えがあると思ったのです。

 

しかし、ここで幸せだった状況は一変します。Cさんが事故に巻き込まれて亡くなったのです。

 

Aさん・B子さん「D子さん(次男の嫁)、本当にこの度はご愁傷さまでした」

 

AさんもB子さんも、Cさんの急死には大きなショックを受けました。しかし、一番辛いのは新婚だったD子さんだろうと気丈に声をかけます。

 

D子さん「Aさん、B子さん……来てくださったんですね、ありがとうございます」

 

葬儀が無事しめやかに執り行われた数日後。遺産協議のために長男・長女・次男の嫁の三人で集まったのです。

 

Aさん「俺は、遺産の権利を主張するつもりはないよ。生活に不自由はないし、Cが突然亡くなってそっちは大変だろうから」

 

B子さん「そうね、私も同じ意見。遺産の権利は主張しないから、D子さんが好きにしてくれて構わないわ」

 

D子さん「わかりました、ありがとうございます」

 

話し合いは終始穏やかに進み、長男も長女も遺産の権利は主張しないと決めて話し合いは終了しました。

 

しかし、これで話は終わらなかったのです。

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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