決算発表で注目したいアナリストの業績予想
四半期決算を含む決算発表では、大きく株価が動く可能性があります。いくつかのチェックポイントがありますが、うまく乗り切れないように思うときは、トレードを休むことを考えてもよいでしょう。あえて売買を休むというのも大切な戦略の一つです。
たとえば、「新日鐵住金」(5401)など、時価総額が大きく、機関投資家の対象になりやすい銘柄は、およそ500銘柄ほどあります。こうした銘柄は、アナリストが業績予想を行っているので、決算発表ではアナリスト予想との比較をチェックします。
業績発表は多くの場合、アナリスト予想よりも低くなります。というのも、アナリストは買いのレポートが8割、売りのレポートが2割といわれています。つまり、買いのレポートでは、「業績はよいだろう」と書くことが多いのです。
すると、実際の業績発表で好業績を出しても、アナリスト予想には届かないケースが多くなります。好業績で株価が下がるのは、そうしたケースです。
例えば、横河電機(6841)は、2015年5月12日の引け後に業績を発表し、同日に説明会を開催しました。2015年3期の営業利益は298億円で、SBI証券のWEBに掲載されているコンセンサス予想の290億円に近く、おおむね想定通りでした。
しかし、2016年3月期計画営業利益は330億円(※1ドル=110円前提)となり、同社の経営陣が掲げていた中期経営計画目標の400億円、SBI証券のWEBに掲載されているコンセンサス予想の390億円のいずれをも下回るネガティブ・サプライズとなって、翌日始値から大きく下げました。
一方、「大阪工機」(3173)のように、成長力はあるが時価総額が小さく、機関投資家の対象になりにくい銘柄は、アナリスト予想がほとんど出されません。そうした場合は、『会社四季報』の予想と比べることが重要です。
なお、アナリスト予想には「会社予想」と「コンセンサス予想」の2種類がありますが、コンセンサス予想とはアナリスト予想の平均値をいいます。
明るい見通しを含む「中期経営計画」で持ち直す株も
決算発表後に売られていた銘柄は、中期経営計画の発表で持ち直す可能性があります。
中期経営計画とは、3〜5年間ほどの経営計画です。その最終年には、次の計画を発表しますが、発表日は企業サイトでチェックできます。この発表会に出席したアナリストが計画の内容を判断し、ニュースになって出てきます。こうした計画では、多くの場合明るい未来予想を織り交ぜてきますので、株価もポジティブな反応を示します。そこで、業績発表後、持ち直しそうだと思う銘柄があれば、中期経営計画発表前に、先手を打って買っておくのもよいでしょう。
[図表]横河電機(6841)の業績発表前後のチャート