時価総額100億円未満の銘柄は個人投資家しか買わない
成長可能銘柄を選ぶには、まず、時価総額に注目しましょう。というのも、株券の大量保有については、「5%ルール」という報告義務があるからです。つまり、上場株式の発行総数の5%超を保有すると、「この株の株主は私」と報告しなければなりません。
ところで、機関投資家の多くは数百億円から数兆円規模の巨額の資金を運用しています。彼らは、株式の個別の一銘柄に対して数億円、場合によっては数十億円の規模で投資を行うのです。5億円もの資金で時価総額が100億円よりも小さな銘柄を買うと、保有率は簡単に5%を超えます。機関投資家は、「どの銘柄をどれだけ買っている」という自分たちの手口をばらしたくありません。また、自分の買で株価を吊り上げ、自分の売りで株価が下落しても困るのです。ですから機関投資家は、おおむね時価総額100億円未満の銘柄については買うのを避けるのです。
つまり、時価総額が100億円に到達する前の銘柄は、個人投資家しか買わないという状況なのです。
機関投資家が買う前の「新興銘柄の青田買い」が有効
時価総額が小さな銘柄を扱えない機関投資家は、時価総額が小さな銘柄がひしめく新興市場からも自然に遠ざかります。当然、新興市場の銘柄は、むしろ個人投資家の方が詳しいという状況になっています。
しかし、ある銘柄が時価総額100億円を超えると、機関投資家は買いに来ます。それだけ成長できたということですし、機関投資家が買うことによって、さらに株価が上がると考えられるからです。だからこそ、個人投資家の場合は、機関投資家が買う前の「新興銘柄の青田買い」が有効なのです。
成長銘柄を探す際、「機関投資家が少ない新興市場」あるいは、「時価総額の小さな銘柄」の中から、時価総額100億円に向かって成長中の企業を探すのは、成長可能銘柄の手堅い選び方といえるのではないでしょうか。
[図表]時価総額100億円に向かって成長中の銘柄の例(2015年5月20日現在)
機関投資家が買わない銘柄には成長途上の銘柄も多い
機関投資家の多くが小型の銘柄を買わないと考えると、機関投資家が買わない銘柄の中には、成長途上の銘柄も多いです。時価総額以外にはどんな目安があるのでしょうか。
投信の月次運用レポートや運用報告書を見ると、運用対象銘柄の実績を知ることができます。したがって、投信の月次レポートなどから外れた銘柄は、他社の機関投資家も買っていないと考えられます。
時価総額100億円を超えていても、投信に組み込まれていない新興市場の銘柄は、「配当が出ていない」ために組み込まれていない可能性があります。業績面などで問題がない場合、配当を出すようになると、機関投資家が買い始める可能性もあります。