時価総額が小さい企業は「伸びしろ」が大きい
成長株(グロース株)投資は、「この銘柄は成長しますよ、だから買いましょう。高くなったら売って値上がり益で儲けましょう」という意図に基づく投資法です。ですから、1週間以内の短期売買ではなく、長い目で投資することを考えましょう。
成長株を探すには、今後の日本では、どのようなマーケットが成長するかについて考えることが必要です。着眼点をいくつか挙げてみましょう。
一つは、「老人よりも子どもの方が、伸び代が大きい」という、オーソドックスな考え方です。つまり、一時のスマホゲームのような、新しく登場して、これから利用者がどんどん拡大すると考えられる業界・業種です。これは、誰もが着目できる最もわかりやすい着眼点といえるでしょう。
同じように株式市場を捉えると、上場歴の浅い会社も、伸び代の大きい「子ども」と考えることができます。株式市場で圧倒的に「子ども」が多いのは、新興市場です。中には「日本マクドナルドホールディングス」(2702)や「USEN」(4842)といった時価総額も規模も大きな会社が含まれていますが、大部分は規模も時価総額も小さな会社です。後で詳しく述べますが、時価総額が小さな会社には、ほぼ個人投資家しか投資ができません。その意味でも、伸び代が大きいと考えられます。
また、新興市場に上場している会社は、いずれは一軍である東証一部へ上場したいと考えています。ステップアップできる市場があるという点でも、成長性が期待できるといえるでしょう。
ニッチ業界のトップシェア企業に着目
次に、まったく別方向の考え方をしてみましょう。現在の日本の大多数の市場は、業績が横ばいか、またはゆっくり縮小する傾向にあります。一見、成長とは逆のベクトルに向かっているように見えますが、この中にも成長銘柄があります。
というのも、こうした業界では淘汰が避けられないからです。多くの会社がひしめき合っている業界では、縮小するパイの奪い合いが熾烈になっていきます。そして、体力のない会社から負けていきます。
もちろん、新規参入する企業もないでしょう。すると、強い会社のシェアがどんどん上がっていくのです。一般的に考えて、上場企業とは、その業界の中で体力がある会社です。そう考えると、今後縮小マーケットでは、淘汰が起きることによって、上場企業の強者はシェアアップし、売上も手堅く保たれると考えられるのです。
日本の企業では、今後はこうしたシェアアップが増えていくのではないかと私は考えています。その中でも特に、ニッチな業界で上場を果たしているトップシェア企業、とりわけグローバル展開をしている企業は、今後儲かりやすい状況になるのではないかと考えます。
成長を考えるということは、将来、何が起きるかを先読みすることです。そのヒントは、過去に起きたことの中にもあります。縮小マーケットで淘汰が行われた例は、過去にいくつも見い出すことができますから、過去の株価推移なども参照しながら、成長銘柄探しにお役立てください。手前味噌ながら、筆者の他の著作にもヒントがいっぱいあります。