2020年12月分「機械受注」のデータ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

12月分機械受注(除船電民需)は大型案件無くても前月比+5.2%と3ヵ月連続増加に

 

製造業・前月比+12.2%の増加、非製造業(除船電民需)・前月比+4.3%の増加

 

基調判断は「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に3ヵ月連続上方修正

 

コロナ禍で慎重、1~3月期見通し前期比▲8.5%。1~3月の各月前月比▲6.2%で達成

 

 

●12月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+5.2%と3ヵ月連続の増加になった。3ヵ月移動平均は前月比+7.5%で4ヵ月連続の増加になった。一方、機械受注(除船電民需)の前年同月比は+11.8%で2ヵ月ぶりの増加に転じた。前月比マイナスの事前予想に反し、12月分実績はかなり良かったという印象である。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回11月分では大型案件は0件であったが、今回12月分でも大型案件は0件であった。大型案件の影響で3ヵ月連続前月比が増加になったわけではないことがわかる。

 

●12月分製造業の前月比は+12.2%と2ヵ月ぶりの増加だ。12月分の製造業では17業種中、11業種で増加し、減少は6業種だった。

 

●12月分非製造業(除船電民需)の前月比は+4.3%と4ヵ月連続の増加になった。電力業は大型案件が2件(原子力原動機1件、火水力原動機1件)あり前月比+69.2%の大幅増加となったので、12月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比+27.7%と2ケタの増加率になった。非製造業12業種中、8業種が増加で4業種が減少となった。

 

●大型案件は、前回11月分は1件。内訳は、官公需が防衛省1件(航空機1件)であった。今回12月分は7件。内訳は、民需が前述の電力業2件、官公需が防衛省2件(航空機2件)、外需が3件(鉄道1件、電子計算機等2件)であった。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は12月分前月比+6.4%と2ヵ月ぶりの増加となった。前年同月比は▲2.4%と20ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は12月分前月比+1.6%と3ヵ月連続の増加になった。前年同月比は+29.6%と3ヵ月連続の増加になった。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年10月分から20年3月分まで半年にわたり「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断にさらに下方修正され、7月分では判断据え置きになった。8月分で「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正され、9月分でも据え置きになった。10月分で「下げ止まっている」に上方修正となったあと、前回11月分で「持ち直しの動きがみられる」に2ヵ月連続で上方修正となった。今回12月分では「持ち直している」に3ヵ月連続で上方修正となった。機械受注(除船電民需)の前月比が3ヵ月連続増加したことと、3ヵ月移動平均が4ヵ月連続増加したことなどを反映しているようだ。

 

●機械受注(除船電民需)10~12月期の前期比実績は+16.8%の増加となり、見通しの▲1.9%の減少を大きく上回った。これで、見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年までの12年間でみると、上振れ8回、下振れ4回となり、上振れしやすい傾向が継続した。

 

●機械受注(除船電民需)1~3月期の前期比見通しは▲8.5%である。新型コロナウイルス感染拡大の状況下、企業が設備投資に慎重になっている感じがする。1~3月期の前期比実績は09年(平成21年)から昨年までの12年間でみると、上振れ7回、下振れ5回であり、若干上振れしやすい傾向がある四半期である。21年(令和3年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率93.4%をかけたものである。1~3月期の前期比見通しの▲8.5%を達成するためには、1月~3月の各月分が前月比▲6.2%が必要である。各月分が前月比0.0%なら1~3月期の前期比は+3.9%になる。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの20~21年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、多少の上下はあったものの11月は50.0(同13人)まで持ち直した。その後新型コロナウイルス感染再拡大の中、12月は44.4(同9人)、1月は39.3(同7人)と低下している。1月のコメントには「新型コロナウイルスの第3波のため、客先業界全体も厳しくなってきた。取引先も設備投資をほとんどしないということになり、2月分等のキャンセルがたくさん入り、非常に難しい状況である」(東海、電気機械器具製造業〔経営者〕)とコロナ禍で設備投資が出ていないことを指摘するものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは2019年11月には51.8(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落し、20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した。その後、10月は41.1(同14人)、11月は35.0(同5人)まで低下したが、12月で45.8(同12人)、21年1月(同7人)で景気判断の分岐点の50を大きく上回る64.3まで戻した。1月では「国内企業の設備投資が回復基調となっている。さらに、諸外国では一部のロックダウンを除き、経済活動が順調に回復してきており、経済刺激策を講じている国々もその効果が出始めている。そのため輸出増加につながっており、順調に回復しているとみている。(北陸・一般機械器具製造業〔経理担当〕)」と先行きの改善基調に触れたコメントも出てきている。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年12月分「機械受注」のデータ』を参照)。

 

(2021年2月17日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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