「お金が足りない!」長男の残念過ぎる末路
寄与分について、もう少し詳しく解説すると次のようになります。
民法は、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護、その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、寄与分を認める旨を規定しています。
しかし、夫婦や親子には相互に扶養する義務があり、いずれの行為が寄与と認定されるか明確でない場合が多く、それが寄与かどうか事実認定の問題として複雑です。当事者間で遺産分割協議が整わないときは、家庭裁判所が寄与した者の請求により寄与の時期、方法および程度、相続財産額等一切の事情を考慮して、寄与分を定めることとなっているのですが、時間もかかるうえ以後の親戚付き合いのことも考えて、極力話し合いで解決するのが賢明です。
この民法の規定をみてもわかるように、寄与分はできる限り話し合いで解決するのが賢明といえます。仮に裁判になっても寄与分が認められるのは難しいと考えたほうがいいと思います。民法の規定にあるように、夫婦や親子には相互に扶養する義務があるからです。ただし、今回のケースでは、田中さんの妻が義母の介護をしているため、寄与分が認められる可能性があるかもしれません。
●対策をしなかった場合
さて、こうして寄与分について長女と話し合った結果、折り合いがつかず、法定相続分である2分の1の相続財産3000万円を長女に現預金で渡さなければならなくなりました。しかし相続財産のうち、現預金は2000万円です。
田中さんは残りの1000万円を用立てなければなりません。結局、何とか800万円をかき集め、合わせて2800万円を長女に支払うことで納得してもらいました。差額の200万円は寄与分というより、田中さんの生活が立ちいかなくなるため、長女とその夫に理解してもらい、妥協してもらったのです。
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