日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは、先日、最新の結果が公表された「家計の金融行動に関する世論調査」。日本人の貯蓄の平均などを見ていきましょう。

生活できない…貧困に苦しむ人たちはどれほどいる?

さらに同調査で注目していきたいのが、「金融資産を保有していない」と回答した16.1%の世帯。金融資産は将来を見据えた貯蓄なので、「金融資産がない=生活できない」というわけではありません。しかし同調査ではさらに「預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分」を加えた「金融商品」の有無も聞いています。つまり「金融商品を持ち合わせていない」=「生活もままならない」といえるでしょう。実際「金融商品を保有していない」と回答したのは、1.5%。前年2.5%からは1ポイント、減少しました。

 

では二人以上世帯の1.5%とは、どれほどなのでしょうか。「厚生統計要覧(令和元年度)」によると、世帯総数は5099.1万世帯。そのうち単独世帯は1412.5万世帯。二人以上世帯は約3500万世帯と考えると、50万世帯は生活が苦しい状況に追い込まれている、と考えられます。

 

また同じように同調査の単身世帯の結果を見ると、「金融商品を保有していない」と回答したのは5.1%。約72万世帯です。先ほどの結果も加味すると、日本において、50世帯に1世帯以上が生活苦に喘いでいます。また厚生労働省の「平成30年度被保護者調査」によると、生活保護の申請を受けているのは161万5357人(関連記事:『都道府県別「生活保護」調査…もっとも申請率が高い県は?』)。こちらともリンクする結果ではないでしょうか。

 

さらに裁判所の「司法統計月報(速報値)」によると、最新となる2020年11月の「自己破産件数」は5,930件で、そのうち自然人(法人と対比されている概念で人のこと)は5,538件(関連記事:『都道府県別「自己破産件数」ランキング』)。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の延長などから、その数は多くなることが予測されます。

 

不測の事態の前では、たとえ富裕層であっても、「生活苦に喘ぐ層」に転落する可能性は十二分にあります。そうならないためにも、余裕のあるときは計画的に資産形成を進めることが重要です。

 

 

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