日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「生活保護」。新型コロナウイルスの終息がまだ見えないなか、生活に困窮する人が増え、生活保護を申請する人も増えていくと考えられます。生活保護の受給者の現状をみていきましょう。

自己破産…1ヵ月に5000~6000件

もう暮らしていけない…(※画像はイメージです/PIXTA)
もう暮らしていけない…(※画像はイメージです/PIXTA)

 

裁判所の「司法統計月報(速報値)」によると、自然人(法人と対比されている概念で人のこと)の自己破産件数は、2020年1~11月で64819件。1ヵ月に5000~6000件程度の破産申立てがされています。申立人のなかには生活を共にする家族がいるケースも多いでしょうから、実際に破産に追い込まれている人の総数となると、さらに多くなるでしょう(図表1)

 

出所:裁判所「司法統計月報(速報値)」より作成
[図表1]2020年1~11月自然人の自己破産件数の推移 出所:裁判所「司法統計月報(速報値)」より作成

 

自己破産は「破産法」という法律で定められた正式な救済措置で、同法1条に「経済生活の再生の機会の確保」と記されている通り、自己破産したからといって、すべてが終わるわけではありません。

 

自己破産すると、借金が帳消しになり、一定の財産は債権者への返済に充てなけばなりません。売却価値が20万円を超えるものは没収の対象になりますが、それ以下であれば没収されることはありません。つまり生活に必要最低限のものは、手元に残すことができるといえるでしょう。また法律に基づいた借金の整理の方法は色々ありますが、自己破産であれば無収入であっても可能です。

 

一方で、マイホームや土地は没収の対象。99万円を超える現金も、基本的に没収されます。ブラックリストにのり、5年間はクレジットカードの利用はできず、10年間は金融機関から住宅ローンなどの融資も受けられません。また自己破産の効果は申立人だけに限られるので、保証人や連帯保証人がいる場合、たとえば家族が保証人になっている場合は、家族が債務を負うことになるので注意が必要です。

 

ちなみに最新となる2020年11月の破産事件件数を都道府県別(裁判所管内別)にみていくと、自己破産件数(対人口比)が最も多いのが「北海道」で、「宮城県」「大阪府」「和歌山県」「高知県」と続きます(関連記事:『都道府県「自己破産数」ランキング…コロナで最も苦境の県は?』)。

 

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